「3年後に原作に逆輸入されたミトの扱い」劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア 裸のチェーホフさんの映画レビュー(感想・評価)

3.03年後に原作に逆輸入されたミトの扱い

2024年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

2024年6月に発売されたSAO本編にミトが原作初登場している(プログレッシブではない)。
その中で作者あとがきにて以下の2点を劇場版から改変したと述べられている。

・SAO初期にアスナと出会わず、当然ネペントの森でアスナを見捨てもしていない。
・一層、五層のボス攻略に参加していない。

これはまさに劇場版での批判の集中しているポイントと一致していて、原作者自らが正史でこれを、ミトというキャラクターの根幹であると理解している上で無かった事にした事実は大きい。

原作小説版プログレッシブのファンとしても、この映画に期待したのは正史SAOでは描けなかった連続テレビ小説的なアスナとの日常とサバイバーたちや各層の細かな風景、そして迫力ある攻略シーンであり、昨今問題視されている原作改変にも似た新キャラによる原作レイプなどではなかった。

なによりこの映画で問題となるのは、各々の苦悩に解決がないことで、物語の面白さとは何かと検索でもすればすぐにでも知れる基本「こうなればいいなと思わせ、視聴者の望みが叶う」に全くマッチしない。この映画がアスナ視点を描いたというならば、アスナの問題はこの映画内で解決されなければならなかった。しかし原作視聴者ならばアスナの家庭問題が解決するのはアインクラッド攻略どころか次のゲームが攻略されるまで待たなければ果たされないと知っているし、よしんばプログレッシブ世界線ではアルブヘイムオンラインが存在しないとしても残り90層以上の攻略以降となる。

脚本の難点に目をつぶってみれば、映像面では不満はない。某OT氏によれば映画とはいかに新しい映像や美しい画面が撮れるかであるという。その点では不足はないように思われる。

裸のチェーホフ