藁にもすがる獣たちのレビュー・感想・評価
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傑作短編集のような作品。小道具の使い方も絶妙。
プロットが素晴らしい。ルイヴィトンのバッグ(僕も昔同じ物を持っていた)とかラッキーストライクとかの小道具を効果的に使い、主人公と思われる3〜4人の人生が見事に繋がる(一部は既に繋がっていた)。このようなスタイル(短編集のようで全てが繋がる)の映画は何度も観ているが、トップクラスの出来ではないか?多分初めて見た女優だと思うのだが、Jeon To-yeonの演じる女社長の悪女っぷり)温泉でのすっぴんのシーンではとても同一人物とは思えなかった)が素晴らしい。オチの所は、万が一日本でリメイクしたら違ったものになっただろう。
面白い!
普通に面白い脚本を時系列をイジる事で
こんな面白い事になるのか!とたまげた。
3つの話がラストで重なるのかと思いきや、
3つの話が縦に繋がっており、
それが分かるヴィトンのバックが映った時ゾワッと
サブイボが出ました。
それぞれの話しが面白くてキャラもダメな奴ばかりだけど
魅力的でまさに藁にもすがる獣たちの映画でした。
ラストの章も、ここで終わりかからもう一つ先があって
良いエンディングだったし
俳優さんたちの演技は言わずもがな、
脚本が上手いなと思いました。
素晴らしかったです。
巡り巡って…
金は天下の回りもの?何となく最後は妻の元に来るのではないかと。チョン・ウソンも情けない役で呆気なく死んでしまった。しかし、韓国らしい激しい殺し方。用心棒も顔めちゃくちゃ怖いし。しかし、大金を手に入れたと思ったら不幸が訪れるので、そこがこの映画の面白いところ。
DV男に観て欲しい
オチを言ってしまうと、そもそもこの10億ウォンのお金はDV男を殺した保険金でしたが、紆余曲折ありながらもラストでは真面目に生きてきた貧乏人に渡るところが日本むかし話的だなと思いました。原作が日本だからでしょうかね。視覚的な表現は残虐的なんだけれども、最終着地は、貧者に優しかった。あと、DV男は自分が殺害される最期を想像して、震えあがって下さい。因果応報。仮に邦画で製作するならば、白石和彌監督で観てみたいです。
【”人食いサメを食う、無表情な半魚人・・” 最後に笑うのは誰なのか? 二転三転四回転半する、欲望塗れの人々の大金争奪大合戦!】
■感想<Caution!以下、内容に触れています。>
1.冒頭、点で描かれていた人々が、一つの大金が入ったバッグを巡って、徐々に繋がりが明らかになって行く、章立ての、時系列でない作品構成の見事さ。
1)借金
・サウナで働く、母親スンジャ(ユン・ヨジョン:ご存じのとおり、韓国の大女優である。「それだけが、僕の世界」「チョンシルさんには福が多いね」「ミナリ」など、近年も大活躍である。)がやや認知症気味のジュンマン(ぺ・ソンウ)は、サウナのロッカーで大金が入ったバッグを見つけ・・。
だが、
”一生懸命家庭を支え、認知症の母から馬鹿にされながらも懸命に働く”
妻のヨンソン(チン・ギョン)にも、その事実を告げず・・。
2)カモ
・失踪した恋人の借金のため、韓国ヤクザから金を借りて苦境にいる出入国審査官テヨン(チョン・ウソン:このような情けない、チョン・ウソンは初めて観た・・・・。イケメン路線でなくても、行けるね!)
3)食物連鎖
・夫のDVに悩む、借金まみれの主婦ミラン。そして、ミランに惚れた中国からの不法滞在者ジンテの関係性・・。
ー ミランは一見、可哀そうな役だが、彼女も徐々に”獣”になって行く・・。
4)サメ
・謎の女、妖艶な美女、ヨンヒ(チョン・ドヨン:「君の誕生日」では、あんなに優しいお母さんだったのに・・。凄い女優さんであることを、再認識する。)
ー サメの刺繍を入れているサイコキラー・・。妖艶で、したたかで、怖いなあ・・。チェーンソーは痛いよ・・。ー
◆物語の全体像が徐々に見えて来て・・。実に面白い展開である。・・・・。
5)ラッキー・ストライク
・哀れな、チョン・ウソン・・。
<金に目がくらんだ、愚かしき人々が、運命に翻弄される姿を、コミカル要素を塗しながら、アイロニックに描いた作品。
神様は、楽をして金を手にしようとしない、真面目な善人が誰なのかをチャンと観ているのである・・。
驚くのは、今作がキム・ヨンフン監督の初長編作品であるという事。
初長編にも関わらず、日本人原作の犯罪小説を、ここまでの面白きクライム・サスペンスに”一部、設定を変えて”一級のエンタメ作品として、仕上げるのだなあ・・。
恐るべし、韓国映画。見事な作品である。>
ラッキーストライク!
完成図が見えないパズルが徐々に組み上がっていく気持ち良さ。最後のピースで得られるカタルシス。
藁にもすがる獣たち(切羽詰まって犯罪に手を染める人たち)各々のドラマにそれぞれ感情移入が出来て複数の緊張感を同時に味わえました。
見事な因果応報が展開され、唯一悪に手を染めず健気に家庭を守る女性に最後…⁉︎
中でもチョン・ドヨン演じるヨンヒが清々しいくらいの悪女で最高でした。
大好きな韓国映画の良さを改めて噛み締めていたら原作が日本人と知り驚き。最高です。
やっぱり面白い!容赦なき韓国ノワール
大金を目の前にし獣と化して豹変する人たちを、韓国の社会問題と絡めて描いている。
構成と伏線の張り方がお見事!冒頭シーンとラストが繋がってなかなか面白くて見応えたっぷりだった。
物語の中盤で伏線が回収されていき、あるところで一つに繋がる。思わず膝をつき、なるほど、こうきたか。と唸ってしまう。
テヨンの徹底的な性悪女っぷりはあっぱれだが、最後の最後でスッキリ(あれで逃げられていたら、観ているこっちが気分が悪い)。
テヨンを殺した男の俳優もいい感じに気持ち悪く怖く演じていて(あの刺青気持ち悪すぎ)韓国映画のスリリングさは見たくないのに見てみたい気持ちにさせてしまうところ、さすがである。
さらにラストシーン、ジュンマンの妻があの大金をどうしたのか、獣に豹変したのか、気になるところである。
えぐいシーンも多く、何度も手で目を覆いながらもついつい観てしまう癖になる面白さ。よかった!
追い詰められた獣たちの末路
ワンデーパスで朝から観賞
あまり事前には知りえませんでしたが
日本人作家原作の韓国映画化とは斬新
感想としては
シンプルな構成でありながらハードコア
かつ焦点の絞れたサスペンスで常にどこか予想を
上回る時間を感じさせない快作だったと思います
「大金入りのルイヴィトンのボストンバッグ」
を巡る様々な立場の人物の行動をチャプターに
分けながら辿っていくのですが
それぞれの人物しっかりした説明もなく
なんらかの人物を介した「借金」を工面する
ためであろう事や張り巡らされた計画であることを
節々で描写しながらそのボストンバッグの行方を通じて
運命を迎えます
そのボストンバッグの行方に関しては
実際の時間軸に対し場面は前後していますが
そのシーンごとに必要なシーンを取り出すだけで
なんだか話の全体が掴めてしまうのは
構成のうまさなのかなと感心しました
まあ元々ストーリー自体はかなりシンプル
なのもありますが
それとなく画面に映るニュースとかも
伏線になっているんですね
日本原作の韓国映画化
こう言っちゃなんですが日本でやろうよと
思ってしまいますがじゃあ日本でやったら
この迫力が出せるかどうか
確かにこの人日本でやったらピエール瀧かなとか
岩下志麻とかたせ梨乃くっつけた感じだなとか
考えてしまいますがもう少し奮起して
日本映画も頑張らないといけないと思いました
ヨンヒ社長のビール瓶殴りから怒涛。
あー、それぞれの登場人物、出来事が交錯して最後辻褄あうやつかー、と中判まで割とさしたる盛り上がりもなく観ていて、このままのテンションで最後まで行くかなーとおもっていたら、ヨンヒ氏出てきてから、あ、これはこのままでおわんない映画だわと確信(原作は未読だったので)。で、劇伴や役者の演技もコミカルな感じで進んでいるくせに、主要な人物(韓国映画観てる人は余計に)が意外と簡単に凄惨な感じで死んでいって、え、この人、もう死ぬの…!!??と混乱状態になり非常に楽しい。あとは役者みんな最高だった。みんな好きだったが、やはりペ・ジヌンさん。ウェストポーチに包丁いれてるのは新しいし、人体ひきづる時包丁でマグロのセリみたいにするの非常に怖かった。
お見事でした
ハラハラドキドキといったスピード感のあるストーリーとは違う面白さ。
自分が考える時間軸を見事に覆される。
そこからが特に面白い。
バラバラだと思っていたことがひとつに繋がる。
生活のほんの些細なワンシーンがとんでもなく大きな意味を持ってたりして。
そんな所が面白い。
それぞれの人物の生活や行動を淡々と描いているのがさらに面白さを増したように思う。
“ラッキーストライク”によって命を救われ“ラッキーストライク”によって命を落とす……
脚本が秀逸
旦那さんが見つけ、別の場所で奥さんが見つける忘れ物。
まぁこの間にどんだけバタバタ死んじゃうんだー!というくらい、お金に執着する人達の末路が怖いこと怖いこと。
こっそりくすねようとした旦那さん、死なないけど家は火事になってなかなかに悲惨になったから、
おなじく盗ってしまったけれど既に別件で足を怪我して復帰した奥さんには、どうか不幸が訪れませんように、と願ってしまいました。
時々表現が怖いけど、脚本が秀逸!ちょっと怖い表現の部分だけマイナス0.5にしてますが、良作でした。万一大金を手にしたら、誰も信じないように気をつけます。
レビューの評価が高いので、鑑賞してみた。映画館に行くと座席は空いて...
レビューの評価が高いので、鑑賞してみた。映画館に行くと座席は空いていたので、やっぱりつまらないのかな?と思ってたけど、面白かった!
原作は日本人の曽根圭介さんの作品のようだ。
出だしで、ルイヴィトンのバッグのアップが続く。バッグが何処かに移動中だ。何が入ってるんだろうと思っていると、中には現金の札束が沢山あった。ストーリーはこのお金を巡って、奪い合いを行うことになる。
作りは良かった。映像はよく出来てると思った。いつも思うけど、韓国の家は汚い。
役者達は素晴らしく感じた。
アルバイトの男性ジュンマンを演じたペ・ソンウは、ピエール瀧に似てた。きっと韓国の実力派なのだろう。
クラブ経営者のヨンヒを演じたチョン・ドヨンは美しい。40代だけど。出入国審査官テヨン役のチョン・ウソンが主役だと思ってたけど、本映画のホームページ見るとヨンヒが1番上だ。でも、登場までは少し時間がかかる。誰が主役?誰が生き残るか分からないって作りなのかもしれない。
出入国審査官テヨン役のチョン・ウソンはカッコイイと思った。西島 秀俊に似てると思った。この人が主役なのかなと思ったらそうでもなかった。
ストーリーは3つの話が別々に展開されていき、やがて一つに重なるような作りだ。
①アルバイト(銭湯?)のジュンマンが、客が使用するロッカーからルイヴィトンのバッグを見つけて、最終的に自分のものとしようとする話。
②出入国審査官テヨンが借金の返済のため、後輩のデメキンと四苦八苦する話。テヨンの妻はクラブ経営者のヨンヒだが、彼女の保証人になった事が、借金取立てに追われている理由だ。
③クラブ経営者のヨンヒの下で働くホステスのミランの話。ミランは夫婦で借金返済に追われている。そのためか、または元々なのかは分からないけど、ミランは夫に暴力を振るわれていて、体中はアザだらけ。ある日クラブに飲みに来た中国人のジンテと共謀し夫の殺人を企てる。
ここで、人々が次々と殺人を犯していく。サメの話が出てくる。何ザメだったか忘れたけど、卵が孵化するとお腹の中で共食いが始まり、最後の一匹が全てを手にするって話で、それが全てを表している。一体、誰が生き残るのか?
ヨンヒのサイコパスぶりは、恐怖より笑いになっていた。人を殺すことに慣れていて、恐らく多くの人を手にかけている。冷たい熱帯魚を連想した。
テヨンの家はネオン街にあるから窓から入る光は独特で、こんな所では住めないなと思った。
ネタバレストーリーは下記。(正確では無いよ。)
アルバイトのジュンマンはロッカーからルイヴィトンのバッグを見つける。中を確認すると大金が入っていた。同僚に客の忘れ物と言って、忘れ物置き場に隠すようにバッグを置いた。
ジュンマンは認知症の母スンジャと妻ヨンソンを持つ。娘もいるが学生で家にはいない。スンジャはヨンソンを嫌っているが、ヨンソンは妻の役目を全うしようと、スンジャの面倒を見ている。
出入国審査官テヨンはビザに判を押していた所、借金取りから連絡が入る。夜、反社(と思われる)のドゥマンの所に行く。すれ違いに、たった今殺されたであろう遺体を運ぶドゥマンの部下とすれ違う。テヨンはドゥマンに借金の返済を1週間伸ばして欲しいと懇願し、嘘を言って了承を得た。
テヨンは妻の借金の保証人となっていたようで、その妻は逃げてしまったようだ。
テヨンは後輩のデメキン(ドゥマンが後で付けたあだ名、本当の名前は?)と連絡を取る。テヨンは今度、国外逃亡の手助けをする代わりに、逃亡者が持ち出すお金の2割を受け取る約束をしているが、その金全部をデメキンに奪わせようと企てた。
夜、来るはずの逃亡者が現れない。テヨンは車で待機していると、刑事がやって来た。この男を知らないか?テヨンは知らないと回答するも、刑事は車の助手席に入ってきた。寿司屋に行くと刑事はたくさん寿司を食べて、テヨンは刑事の分も支払った。
ミランは家で夫の帰りを待っていた。夫が帰宅すると、暴力を振るわれる。借金の返済に苦しんでいるようだ。
ミランはクラブで働いている。ある時、クラブに来た中国人男性ジンテがコロコロとホステスをチェンジするので、ミランに白羽の矢が立った。ジンテはミランのことを気に入った。ジンテとミランは一夜を共にすると、朝、ジンテはアザだらけのミランの姿を見て事情を聞き、夫の殺害を企てた。
ジンテはミランからの情報を便りに、ミランの夫がホテルから出てきた所を、後ろから車で轢いた。そしてジンテは夫を山中に埋めた。ジンテはミランに電話をすると、ミランはそれでは死亡がすぐに確定しないので、ジンテの行動に困惑した。行方不明者が死亡と扱われるのに5年必要で、ミランは5年も待ちたくなかった。
ジンテとの会話を終えると、夫が帰宅した。ミランは驚きを隠すように振舞った。ジンテに別人を殺害したことを伝えた。ミランはジンテに中国へ帰ることを進言した。
クラブでは客が揉めていて、経営者ヨンヒが対応した。客がヨンヒの頬を叩くと、ヨンヒは正当防衛だと言って客を酒瓶で殴ってしまった。暴行を受けていたミランに優しく接する。
後日、ジンテからミランに連絡が入る。犯罪を自白したいと言う。ミランはジンテに会うと、ジンテは男性の声が聞こえると頭を抱えていた。ミランは殺害した男性を供養しようと提案し山中に行くが、ジンテの耳鳴りは解消しなかった。ジンテは自白すると走って下山しようとするので、ミランは後ろから車で轢いた。
ミランはクラブ経営者のヨンヒに連絡する。ヨンヒはミランの犯した殺害を消すために協力した。(ジンテをどうしたか覚えてない)。まず車を廃棄場に持ち込み、車を潰した。
ヨンヒはミランを連れて温泉に入る。ミランはヨンヒの体にサメのタトゥーがある事に気付くと、ミランは自分の体にもタトゥーを入れることにした。
ミランはヨンヒのアドバイスの通り、刑事に夫を亡くしたことが辛い振りをした。そして、生命保険金を沢山得ることになった。
ミランはヨンヒの別荘で、感謝の意味でお金をヨンヒに渡した。ヨンヒはミランに生まれ変わろうと言って、乾杯した。ミランは目覚めると、机の上で拘束されていることに気付いた。ヨンヒら酒に睡眠薬を盛っていたが、分量が少なかった。ヨンヒはあなたは3人も殺してるんだから、誰も信用してはいけない、と言って、ミランの体を解体した。
テヨンが帰宅するとヨンヒがキッチンで料理をしている。テヨンは激怒するが、ヨンヒが去ろうとすると後ろから抱きしめて引き止めた。ヨンヒは海外逃亡を企てていて、出入国審査官のテヨンに力を借りようとしていた。
二人の元に刑事がやって来た。刑事はテヨンから独身と聞いていたが、女性物のヒールを見て、テヨンの嘘を見抜く。トイレに行きたいので無理矢理部屋に入っていくと、ヨンヒがいるので、美しさにテヨンを羨ましがった。
刑事が二人に海からバラバラの遺体を見つけたと話す。体の一部にサメのタトゥーがある事を聞くと、テヨンはヨンヒを見ながら動揺した。ヨンヒの体にもサメのタトゥーがあることを知ってるからだ。
テヨンは分からないフリをする。そこにデメキンから電話が入るが取れない。テヨンはビールを買うと言って外出するとデメキンと連絡を取る。
テヨンは部屋に戻ると、刑事は倒れていた。よく見ると血を流している。ヨンヒが殺害したのだ。ヨンヒはこれから処分すると言って遺体を風呂場へ運んだ。テヨンは中の様子は見ないが床に付いた血を洗い流していた。
テヨンはヨンヒが風呂場から出てきたところを後ろからフライパンで殴り、気絶させる。テヨンはヨンヒの鞄から車のカギを奪うと、駐車場に止めてあるヨンヒの車から現金の入ったルイヴィトンのバッグを奪った。
ヨンヒが目覚めると、部屋にはドゥマンとその部下がいた。ドゥマンはヨンヒに金を返すよう要求すると金ならあると応えた。が、バッグの中身が散乱していて、車の鍵が無いことに気付くとテヨンに金を奪われたと悟る。ヨンヒはドゥマンらの前でテヨンに電話するが、テヨンは陽気であった。
ヨンヒはドゥマンにテヨンの出国のタイミングを抑えれば良いと進言した。
テヨンはルイヴィトンのバッグをジュンマンが働く銭湯?のロッカーに隠す。(ここで、冒頭のシーンに繋がる。)
テヨンは銭湯が24時間営業でないことを知る。タバコを従業員に買ってくるように指示するが、従業員が一人もいなくなることは規則で禁じられているから、断られる。テヨンは自分でタバコを買いに行く。テヨンの吸うタバコはラッキーストライクだ。以前、タバコが切れてラッキーストライクを買うために店を訪れた時に、先輩を乗せた車にトラックが突っ込んだ。たまたまテヨンは店にいたので助かったことから、それ以降はラッキーストライクを吸うようにしている。
店を出ると、反社のドゥマンの部下達に囲まれている。テヨンは必死に逃走するが、道を飛び出した所をゴミ収集車が走っていたので、轢かれてしまった。デメキンがやって来て、落ちてるタバコを拾い、何がラッキーストライクだとゴミ収集車にタバコを投げつける。
ジュンマンは遅刻をして、銭湯の経営者から解雇されてしまう。ジュンマンは銭湯を出る際に、忘れ物置き場からルイヴィトンのバッグを持ち出す。エレベーターで経営者に気付かれ中身を見せろと言われるが、雇用関係にないことを理由に断った。
ジュンマンはバッグを死んだ父の遺品箱?の中に隠す。ジュンマンは妻にもう一度店を持とうと語る。そんなお金はないでしょと妻は言うが、ジュンマンはあるさと答えた。
ジュンマンの元に銭湯の経営者から連絡が入る。ジュンマンへの給与のことで後々揉めたくないから話したいという。
ジュンマンが経営者のいる店を訪れると、ヨンヒとドゥマンがいた。ヨンヒとドゥマンは自分達を刑事だと語った。
経営者の話だと刑事らはルイヴィトンのバッグを探しているが、ジュンマンの持ち帰ったバッグに似てるとの事。ジュンマンは惚けるが、慌てて自宅に帰る。
ヨンヒとドゥマンはジュンマンの後を追う。ジュンマンが自宅でバッグを取り出しているところで、ヨンヒとドゥマンが入室してくる。金が減ってる事を聞くと、ジュンマンは娘の学費に使ったと答えた。
部屋に母スンジャが入ってくる。ドゥマンの手にタトゥーがある事に気付くと、刑事でない事を見抜き騒いだ。ジュンマンが静めようと母を抑えていると、ドゥマンはアイロンでジュンマンと母スンジャを殴り気絶させる。すると、ヨンヒがドゥマンの背中を包丁で刺す。ドゥマンが振り向くとヨンヒは更にドゥマンを刺して刺殺する。
ヨンヒはキッチンのコンロに火がついている(調理中だったから)のを見て、油を注いで家に火をつける。ドゥマンの部下は外で待機しているが、家の方を見ていないので気付かない。ヨンヒはルイヴィトンのバッグを持って逃げる。
ドゥマンの部下が異変に気付く。部屋に入っていくと、ドゥマンの死体とジュンマンとその母が倒れている事に気付く。
ジュンマンは目覚めると、家が燃えている。母を背負って家の外に出る。母はジュンマンに生きていればいつでもやり直せると諭す。
ヨンヒは空港?にいた。バッグをロッカーに収納するとトイレに言った。すると、トイレにドゥマンの部下が現れた。ヨンヒは命乞いをするが刺殺されてしまった。
ジュンマンの妻が空港で掃除婦として働いていた。ロッカーからルイヴィトンのバッグを見つけ、中に現金がある事に気付く。自分のものにしたいように見える。
カモったつもりがカモられて。
面白いぃ。滅茶おもろい。テンポ良いし、躊躇なくザクザク殺るし、容赦無しのヤクザワールドに、アホな三文チンピラだらけで抜け作ミッションの連チャン。もう、ほんまバカだねー、バカバカバカ。登場人物全員バカ、ってヤツ。
でですよ。
ちょっと悔しいと思う訳ですよ。原作は曽根圭介さんですよ。アバンギャルドな大衆小説。日本では映画にしようなんて企画は通らないですか?三池崇史さんの「初恋」も、もう2年前なんですねぇ。
おバカに徹したビターな大衆映画。得意な監督さんは多そうな気がするんですけど、我が国でも。なんて事を思いながら、次に移動開始。
巡り巡って金は夫婦の元に帰って来たけれど。悪銭身につかず、って言うからねぇ。
このイージーで溜めの無いスピード感のある脚本が大好きw
面白かった。かなり。
終盤になるにつれて1つになる形は引きつけられる
KCIAを観た際チネチッタでこの作品の予告を見て興味をそそられこの度鑑賞。
予告を見る限り一つの大金をめぐり人々が争う様子を想像させられる。
序盤は各々の登場人物の背景から始まる。その登場人物達が共通するのは借金苦で首が回らない状況である。そのお金に困った登場人物達がどうやって纏まったお金を工面し現状を打破するか描かれ物語は進む。
大金を工面するが故にやはり周囲はまともな人間を築けておらず、また悪い事をしてでもいかに大金を手に入れるかというダークな描写が続く。
序盤から中盤にかけては予告で想像させられた登場人物達各々が一つの大金を争い奪う展開やその様子がなく、
またそれぞれの人物達の仕事やら見た目やら共通性が薄い人生をそれぞれ送ってるため一瞬、あれ?という気持ちにさせられるが、
作品が進むにつれてその共通性の薄い人物達が借金苦という唯一の共通性から一つにまとまっていく展開は非常にエキサイトな気持ちにさせられる。
時には嘘をつき人を殺してでも金を得て、そして騙され、殺され金を奪われて…と主要キャラ達が獲得を狙った大金に関わった者全て一瞬の幸を得た後に大きな不幸を遂げる展開が繰り返される。
その展開は時にはバイオレンスに、時にはサイコチックに時にコメディカルにいろんな描かれた展開で進むため終始非常に楽しめる。
結局作中で金を奪い合ってきた人物達は誰一人幸を得る事ができず、最後はまた新しくその大金をめぐって不幸が広がる展開が始まりそうな臭いを漂わせて終わるのがまた面白い。
大金の始まりがあのDV被害を受けていた奥さんが得た保険金からはじまると予想していなかったのでそこも面白かった。
最後の最後に認知症のおばあちゃんが言い放った「生きてりゃなんとでもなる」がこの作品の全てだね。
悪い事、非道な事をしてでも得た物に対し幸は結局長くは続かない。苦しくても他に足つけて少しずつ前に進むのが良いのだろう。
韓国作品らしいとても楽しいサイココメディ作品であった。
究極のノンリニアー... ハリウッドでリメイク間違いなし!!
この映画『藁にもすがる獣たち』には主人公となる人はいない...
それはただ 金だ!!! 失礼、下品でした。
A grown man shouldn't cry. During the Korean War, the whole
country was like this. If you're alive, things will work out. With
2 arms and 2 legs, you can start over.
本作品が始まって、ものの5分ほどで間違いのない映画と... "韓国の至宝" ユン・ヨジョン女史のご登場とは、前もって何も映画について調べていない者にとっては、唐突であり、意外であり、ションベンたれ?であったり... と、この人、凄すぎる。
上記のセリフは映画も佳境に差し掛かった時の彼女のセリフで個人的には、この映画のシニカルさを表現した中に、言葉の意味のアイロニックさを区別した彼女ならではの人柄が表れる毛沢東の造語とされる "反面教師" 的でもあり映画の根幹とも呼べる表現となっている。
Nonlinear narrative... 非線形のストーリーラインの映画の切り口?
本作品『藁にもすがる獣たち』を製作し、また脚本家でもあるキム・ヨンフン監督が AMP(Asian Movie Pulse) のインタビューの中で、コーエン兄弟やタランティーノ監督を尊敬していると語り、映画の企画書と言えるプロットの組み立て方の構成も、本作品は名立たる映画賞を受賞しているタランティーノ監督の1994年の映画『パルプ・フィクション』で見られる時間的な順序とはイビツに異なった流れの当時としては珍しい手法である "Nonlinear narrative" 形式で時間軸を無視した話になっていて、映画自体は6つのパートのチャプターから成り立っている。この映画では、第一章が話の時系列から言うと第六章にならなければならないのに話の組み立ての面白さから順序を真逆にしてラストシーケンスから映画を始めている。
そして、またコーエン兄弟の映画『ファーゴ』でも見られた、人の人生に何が起きるか分からないプロット展開の複雑さの中に面白みも自然と感じてしまう...etc.
“Oh, my God! She’s such a -!” Subtext – what lies beneath
You completed that sentence, didn’t you?! I left a gap, and you
filled it with knowledge from your own experience of life and
people. That, right there, is the secret to subtext. Writers leave
gaps in knowledge; readers project knowledge into those gaps.
Subtext is the knowledge that goes into a gap, and that knowledge
comes from the reader. We’ll find out if ‘she’ is what you think she
is, and if you correctly filled that gap,
before the end of the article. デイビット・バブレン博士のブログより
アンサンブル映画に加え、プロットの時系列を無視したノンリニアーな展開から前半を過ぎても物語の登場人物同士の繋がりや話の整合性が皆目と言っていいほど分からず、話が闇の中に没入されそうになってしまっていた。普通なら非線形な話しの流れを映画製作者側が、ストーリーの筋を分かり易く描くところをこの映画『藁にもすがる獣たち』の製作者たちはあたかもお構いなしにバラバラのまま話をそのまま進めていく。しかし、その分かり難いストーリー展開でも個人的には、何故か嫌な気はしなかった... それは一体何故か?
初となる長編映画『藁にもすがる獣たち』を製作したキム・ヨンフン監督が、このドス黒いコミック・ネオ・ノワールの世界観をジッピーな機関銃ペースのシナリオ展開と共に、更にゴア表現で支えられた暴力の極みのアクションとグーフィネス・コメディの両方を暗闇の魅力的な力でブレンドさせた巧みな手法で上手く融合させ、この複雑な物語を見ているものを飽きさせず、また緊張させ続ける素晴らしいスクリプトをキム・ヨンフン監督は書き上げている。
映画の中で次に何が起こるかを予測することもさらに映画に感情移入をたやすくさせ、楽しくなってしまう。
監督は AMP のインタビューでこんなことも語っていた。「この映画では、誰もが異なる嘘をついていて、色にそれを反映させたかったのです。(ヨンヒ—白、テヨン—青、ミラン—オレンジ、ジンテ—紫など)。カラフルなネオンサインの下に住むテヨンにとって、彼は日光の代わりにもっとより人工的な光に触れさせています。一方、ミランはタングステンの雰囲気があります。」
美学として利用するカラーパレットの色合いやネオン管に現れる決して明るくはないこころを象徴しているように華麗で妖気を発しているかのようでコメントコンサルタントと別の顔を持つ小説家でもあるデイビット・バブレン博士が提唱するサブテキストによる効果と創作物の中で、登場人物がはっきりと明示しないギャップ感がラストに近づくにつれて、話の整合性が見えてきて、あの入り組んだ迷路のようなストーリー展開から終盤に一気に話がまとまり、その解放感は顕著になり、またカタルシスは全開となる。
When you strike it rich, you can’t trust anyone... この言葉は重い!
この映画は、映画『神の一手』で、あたし好みのムキムキのビルドアップした飽きの来ない身体を見せつけ、また映画『無垢なる証人』では有能な弁護士を演じた憧れの的と呼ばれる韓国を代表するハートスロブ俳優の一人のチョン・ウソンとカンヌ女優のチョン・ドヨンを含む経験豊富なキャストの人たちがこれほどのクズ人間を演じるとは信じられない。
特に最近拝見した映画『君の誕生日』でのチョン・ドヨンさんの喪失感の表れから、ほとんどスッピンだったのを思い出すのは容易だったにしても、ヨンヒ(チョン・ドヨン)が浴槽の中で死体を傍らに置いたしり目に浴室で彼女が携帯電話をいじっている場面は、コーエン兄弟の映画『ファーゴ』のピーター・ストーメアがウッド・チョッパーで人を粉砕させるシーンを連想させる... 死体の硬直した足の感じが、フフフ?
彼女、眉一つ動かさずに人を切り刻む超が付くほどの変態的アバズレ(失言です。またまた下品で)女性を演じるとは並の女優さんが演じるとコッケイにしか映らず、彼女ならではのさすがとしか言いようがない。
『おかしなおかしなおかしな世界』1963年のアメリカのコメディ映画ほどのコミカルさはないにしても、ある銘柄のタバコの名前に引っかけてのワン・シーンはチョットやり過ぎ感が出てしまっていたけども、映画のスリリングさがそれでもそんなことはとるに足らないことにしてしまっている。
ペ・ジヌン演じる魚の内臓を好んで食べる巨漢男は異彩を放ち、最後の殺しの場面では映画の中で包丁をあんな風に使ったのを見たのは初めてかもしれない。そのシニカルな殺しがこの映画の凍てつくような冷え冷えした全体の雰囲気と映像美とを形作っている。
前出のAMPの質問に何故、日本の作家の作品を選んだのかという問いに
キム・ヨンフン監督は... 「当時、私が取り組んでいたスクリプトはあまりうまくいきませんでした。それで、私は本屋を訪れました。その本のタイトルが私の目に留まったのです。」この言葉は、一見、監督が行き詰って新しいテーマを探しに本屋に行って日本人の作家の作品と出会った何気ない偶然のエピソードとして捉えることができる。
しかし、世代が変われば話も変わる。
遠い昔、南の島国からの帰り、韓国の知人からぜひ、"日本の京都みたいだから" と慶州を観光してからでも遅くはないからトランジットで韓国に寄ったことがあった。その当時は、まだ韓国での日本の大衆文化の流入制限がされていて、日本語の旅行ガイドを持っていかずに行ったので単純に電車に乗る事すらままならず、少し戸惑った事を監督のコメントから急に思い出した。
そんな時もあった、今の韓国は変ったんだな~っと。
そんな映画です。
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