岬のマヨイガのレビュー・感想・評価
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人は置かれたところで咲くしかない
居場所のない子どもたちに家族ができた。頼りになるおばあさん。落ち着いてすごせる古くて大きい家も。
家族とはなんだろう。血のつながりは必須ではなく、安心していっしょに過ごし、いたわりあうことができればそれでよいのだろう。「ブラック・ウィドウ」でも同様の問いが示された。我々の多くは家族を維持することに疲れ、疑問を感じているのかもしれない。
狐崎に流れ着いた桜の枝をキワさんが庭に植えた。桜は根付き、つぼみがふくらみ始めて物語は終わる。人は置かれたところで、自分にできるやり方で咲くしかないと言っているようだ。
岩手県を舞台とするファンタジー。東日本大震災から10年、フジテレビの被災地支援プロジェクトにより制作。原作は2014年から2015年にかけて「岩手日報」に連載。
キャラが薄いのか?
遠野に行ってみたくなる!
そのタイトルからちょっと気になってはいたものの、キャラデザにイマイチ魅力を感じられず、鑑賞を迷っていた本作。たまたま時間ができたので、思いきって鑑賞してきましたが、予想以上によい作品でした。事前情報なしでの鑑賞だったので、「マヨイガ」は「迷い蛾」かと思っていて、まさかこんな話だとは思いませんでした。
ストーリーは、東日本大震災で避難所にいたユイがひょんなことからキワというおばあちゃんと孫のひよりと、岬の崖の上に建つマヨイガと呼ばれる家で一緒に暮らすことになるが、その家ではなにか不思議なことが起き、しだいにキワの秘密が明らかになるなかで、三人の絆が固く結ばれていくというもの。
東日本大震災、被災者の悲しみや苦しみ、それでもなおその土地を離れず生きる人々のたくましさ、故郷への想いなどを、ノスタルジックで美しい風景と遠野民話を交えて描いており、もうこれだけで心に深く染みてくるものがあります。加えて、父親との確執に苦しむユイと、両親との死別の悲しみが癒えないひよりの成長譚でもあります。
ユイとひよりが人と自然との触れ合いから徐々に心を開く前半に対して、後半は「ふしぎっと」と呼ばれる妖怪が登場する予想外の展開でしたが、遠野民話と震災復興や郷土愛を絡めた、吉田玲子さんの脚本は秀逸でした。ちょっとあっさりではありましたが、狐舞の複線回収しながらのクライマックスもよかったです。
それにしてもキワさんはいったい何者なのでしょう。考えようによっては、キワさんは特別な人ではなく、昔はみんな普通に妖怪と会話し、共存していたのではないかとも思えてきます。そんな東北の自然と神秘を肌で味わってみたいです。以前からずっと遠野を訪れてみたいと思っていたのですが、その思いがますます強くなりました。本作が一人でも多くの人の目に触れ,復興支援の一助になることを願います。
ほっこり……?
芦田愛菜の声は、キャラにあってたと思う。東北大震災直後から始まる…フシギットらの共演など、詰め込みすぎる感が……ほっこりする映画です。
主人公ユイに、感情移入できやすい感の後味がいい映画です。
評価不能
ファンタジーとしては、デキの良い作品ではない。
はっきり言って、ダルい。演出にキレも工夫も悪く、ワクワクが来ない。
妖怪は、隠れているから、あるいは、もしかしたら襲われるからコワいのだ。“仲間”になったところで、何が面白いのか?
また、地蔵菩薩や狛犬が、一般人の口調で饒舌にしゃべっては、カリスマがない。
アニメーションとしても定番で、特筆すべきものはないと思う。
3つほど「昔話」が挿入されるが、そちらのアニメーション方が、“攻めた”表現で良いアクセントになっていた。
ただ本作は、テーマが「震災」である。
いろいろと被災者の心情に立ち入った描写が出てくるので、“部外者”の自分は、その善し悪しを判断できない。
しかし原作者も、被災していないようだ。
もしかしたら被災者は、的外れな話だとか、“部外者”が勝手にそういう話に触れるな、などと不快に思うかもしれない。
逆に、郷土への誇りを表現しているとか、自分たちの状況を象徴している、と共感する被災者がいるかもしれない。
何より注意すべきことは、怪物アガメ(赤目)の目的は、人を殺すことではなく、「被災地から人間を追い払う」という点だ。
被災した故郷に見切りをつけて、去って行く人達。アガメは、その心の闇の“象徴”として登場する。
そして、アガメに勝ったユイは、この地で生きていくことを誓うのだ。
こういう描き方が、被災地を去った被災者にとって、どう感じられるのだろうか?
少なくとも、センシティブな問題に触れていることは、認識した方がいいのではないだろうか。
だから、ファンタジーとしては低評価だが、映画全体としては、“部外者”の自分には評価できない。
意外に壮大なスペクタクル
タイトルにあるマヨイガから、柳田國男の遠野物語に出てくるマヨヒガだろうと見当をつけての鑑賞である。遠野物語が物悲しさの漂う民間伝承であるのに対し、本作品は壊れた心の再生の物語であると同時に、ゲゲゲの鬼太郎みたいな妖怪退治の話でもある。意外に壮大なスペクタクルに仕上がっていた。
大規模な天災地変の被災者は、ある意味で難民のようだ。家は必ずしも家族とイコールではないが、重なる部分が大きい。家と家族を同時に失うと、世界との繋がりが遮断されてしまったような放逐感を味わうことになる。そこに個別の事情が加わる。悲しみの種類は人の数だけあるのだ。
本作品は大震災の被災者であるユイとひよりが、家と家族を喪失した無力感から、少しずつ精神的な安定と自立を取り戻していく成長物語である。トリックスターであるキワがマヨイガやその他の遠野物語の登場妖怪の助けを借りてユイとひよりを支える。
一方でゲゲゲの鬼太郎に出てくるような妖怪が、震災で弱ってしまった人々の心の隙間のようなものを栄養にして成長していく。この設定は上手い。悪役は短い間に強大になり、キワと妖怪たちだけが知っている危険な状況は、いよいよ風雲急を告げる。キワたちは勝てるのだろうか。ユイとひよりには何ができるのだろうか。
キワの声を担当した大竹しのぶはやはり大したものだ。この人の声のトーンが、作品そのもののトーンとなっている。以前コンサートに行ったことがあるが、とても味のある声で歌う。11月には「ザ・ドクター」という舞台があるので、大変楽しみである。
ユイを担当した芦田愛菜も好演。アフレコの様子を思い浮かべながら鑑賞したが、難しい場面で思い切った声を出していて感心した。歌も上手いから、そのうち大竹しのぶみたいにコンサートもやってほしいものだ。
タイトルなし(ネタバレ)
予告動画が面白そうだったので鑑賞。
喋れないけど、ひよりが可愛かった。
この映画は東日本大震災が絡んでいる。場所は東北だし、ひよりは災害で祖父母を失い孤独になっている。町を去る人もいるが、必ず戻ってくるような地元愛が感じられた。
父親から逃れてきたユイ、家族を失ったひより、二人を引き取ったキワおばあちゃんの3人が、岬にあるマヨイガで暮らすことになる。
マヨイガとは、不思議な家でそこを訪れた者は幸せになれるという言い伝えがある。
ユイとひよりが避難所にいると、自分の孫だとキワは機転を利かせて引き取った。キワが連れてきたのは岬にある一軒家。かなり古い建物で、外壁が無くていきなり障子だ。もしからしたら雨や冬に雨戸を閉めれるのかもしれないが、寒そうな日本家屋だ。ユイはこの家に何か違和感を感じていた。
ある日、水が飲みたいと言うと目の前にコップ一杯の水が現れる。氷の入った冷たい水が欲しいと言うとコップに氷が現れた。キワはここはマヨイガだと言う。そこで、障子の穴が塞がっていたことも合点がいく。
キワはふしぎっと(妖怪とかお地蔵さん)と会話出来る特殊能力の持ち主。ある時、岬に封印されていたアガメ(ヘビみたいな龍みたいな姿をした悪者)が解放されてしまうと、キワは各地からカッパを呼んで状況の調査依頼をした。
最初は小さかったアガメも成長し大きくなっていく。
キワはユイとひよりを連れて川を上って、マヨイガ本殿に行く。マヨイガ本殿ではたくさんのふしぎっとがいて、力を貸してくれるようお願いした。
最後に大きくなったアガメとキワが戦うが苦戦する。ひよりは町で習ったお祭りの笛が魔物を弱体化させることを知っていたので、アガメに向かって笛を吹くとアガメは弱まった。
そこでユイはこれも町で習った弓でアガメを倒した。
ファンタジー色が強すぎかな
日本の妖怪はいいねぇ
描写が美しい!家族愛に心にくるものがあって泣きそうになりました( ; ; )
俳優の方々の演技力が良くて違和感なく観れたアニメーション!
不満があるとしたら、ラスボスと戦う時あっさりしてて物足りなかった感。もうちょい盛大に戦争して欲しかったな...
せっかく大人数で集まってくれた妖怪たちの出番が少なくて、がっかり。
時間が足りなかっただけだと思うけど、妖怪が見たかったんじゃ...
伝えたい事が分かる、いい映画
東日本大震災から10年
単純に面白かった。(点数でわからないこともあり)
昔話風で妖怪が登場するなど、想像とは違った展開でしたがそれはそれで楽しめました。
映像美は「アーヤと魔女」には及びませんが、私的にはもしどちらかの映画をもう一度見るとしたら
こっちかな。
それと映画と関係ないけど、ここまでレビュー12件で合計46.5点、平均3.87点になります。
得点表のパーセント割合に誰もつけていない星1個があるのはなぜでしょう。この1点を加えると
3.6になります。意図的に点数を調整しているのかどうかわかる人いますか。
理不尽な仕打ちからの再起
素敵な作品
少女2人のサマーウォーズ
夏、ジュブナイル、異界との交流、日本の自然の優しさ(この映画ではトトロ的なものが主で、自然の凶暴さは出てきません)、小さき者の覚醒が大いなる邪悪を倒すという、ある意味問答無用の感動ストーリー。
もう一つの要素…『家族や絆』については、殊更にそこを強調するよりも世代を超えた友情と捉えたい。
サマーウォーズにも通じる定型定番かもしれません。
でも、いつの時代の子どもたちにも、リアルタイムで味わえる冒険譚があること自体が大事だし、そういうものを提供してくれる人たちがいることに感謝したくなります。
映画を見慣れたスレた大人でも、斜に構えることなく、ユイのように真っ直ぐな気持ちで向かえば、とても良い映画だと思います。
それにしても、芦田愛菜さん、大竹しのぶさんともなりきり度が凄い。演じているのはお二人だということが分かっているのに、上映中はユイとキワさんそのものにしか思えませんでした。
芦田さんのような若い方に言うのもなんですが、芸達者という言葉がとても自然に浮かんできます。
(余談)
自分の子どもが、『この前、ふしぎっと見たよ』と言ったとしたら、あなたはどちら?
①そっか!パパ(ママ)も会ってみたいからその場所に連れて行ってくれる?
②バカなこと言ってないで、夏休みの宿題片付けなさい❗️
自分は①のほうの親でありたいと思うのだが、子どもが5年生とか6年生くらいだと結構微妙ですね。
もう、その時期はとっくに過ぎてるからいいんですけど。
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