「タイトルなし(ネタバレ)」岬のマヨイガ タカブリッジさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
始まってしばらく会話等せず被災した街を歩く3人からスタートしたのが非常に印象的です。震災や心のキズといった作品のテーマが重い為ふんわりとしたキャラクターデザインや音楽を緊迫した場面で無音にしたり暗い曲にせず少し明るい曲でまとめてあるのも緩衝材となっていて非常に見ている側に配慮されているなと感じました。気になったのはテーマや世界観に対して「これいる?」と感じてしまうようなアクションが盛り込まれていたことと若干の詰め込み感でしょうか。アクションに関して確認したら原作でもなされていた描写のようで仕方ないなと思う反面ユイの年齢を下げたりの改変を行っているようでもあるので直接的に手を下すような描写じゃない作り方も出来たのかなと考えてしまいます。詰め込み感も原作ありきの話にはありがちな事で非常に歯がゆい部分ですね、いざ自分が作り手に回ったとしてハートフルな描写はもちろん削りたくないですし少女2人の心のキズが開いてしまう描写もそれを乗り越える為に必要な描写。そうなってくるとやはりアクション部分をどうにかとは考えるものの、アクションもガッツリ削った結果尻すぼみのあっさり感が凄いというラストなので制作陣の方々は本当に努力されたのだとしみじみ思うところではあります。
総評として全体的な作りは非常に良いと思います。大枠のテーマにそって物語が作られていますし大きな破綻もしていない。原作のキャラクターの年齢を下げたりの改変ですべてがチグハグになった作品が多い中しっかりとそれに見合った形に言動を修正しているのも作品への理解を感じられます。ないと思いますが続編やスピンオフがうまれるのだとしたら家族としての日常、ふしぎっとが身近にいる暮らしを掘り下げた3人の話をみたいなと思った作品です。