「広告だったらJAROに訴えられるレベル」イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社 じゃいさんの映画レビュー(感想・評価)
広告だったらJAROに訴えられるレベル
よくこんなの劇場公開したな、ってのがしょうじきな感想。
内容は真面目といやあ真面目だが、きょうびNHK-BSやディスカバリーチャンネルでも10倍マシな同テーマのドキュメンタリーが作れると思う。
なんとなくイメージ映像と似たり寄ったりの人物カットを並べて、研究者の語りを羅列しただけのつくりで、山も谷もなければ、わくわくのかけらもない。
そもそも、
「イルミナティとは巷間、どのような秘密結社としてとらえられているのか」
「俗説と研究者の見解とのあいだにある最も大きな差異はなんなのか」
「イルミナティの中核的な教えと目的はどのようなものか」
「イルミナティは当時、どのくらいの規模の地域でどれくらいのメンバーがいたと推測されるか」
「イルミナティとフリーメーソンの思想の類似性と相違点とはなにか」
といった大前提となる基本的な情報が、まったく体系立てて提供されない状態で、派生的な「枝葉」の話ばかり延々としているので、まるで頭に入ってこないし、すっと理解できない。
例えば、しれっとフリーメーソンに攻勢をかけて多くの勢力を奪うことに成功したとか出てきたけど、オウムが創価にオルグかけてもそう簡単には移ったりしないよね? そんな社交クラブみたいに引き抜けるほど共通の思想的基盤があったのか? とかの説明が、まるでない。
せめて、
複雑に規定されていたという「儀礼」の数々を映像で再現するとか(握手の仕方くらいしか出てこない)、膨大に残ると言及される文献のなかから、おっと驚くようなネタを紹介するとか、挿入されるイメージ映像やカットにもう少し隠喩めいた要素やサブリミナル効果や秘儀的なイメージをちりばめるとか、そういった「この映画を観に来る人が喜びそうなこと」をやってくれればいいものを、その手のサーヴィス精神は皆無である。
結果的に、詳しくない人間にとってはとてつもなく不親切で、詳しい人間にとっては限りなく退屈な仕上がりに終わってると言わざるを得ない。
あげく、
結論めいたものといえば「イルミナティが存在するというのは陰謀論である」
おしまい、みたいな。
・・・知ってるよ、そんなこと!!
「観ると、消される。」って煽りはどうした?
「世界を操る闇の秘密結社」って副題はどうした?
出演者が総出で全力で否定してるんだけど。
「人類最大のタブー」も「その歴史と全貌」も「ついに明かされる、陰謀の真実」もなんにもないじゃん。どーゆうことだよ。
映画のなかで、「イルミナティがいまも世界を操っているかのような嘘で、お金を稼ごうとするやつらがいます」とか研究者が警告してる。
それ、まんまこの映画の配給元のことじゃねーか!! (笑)
とまあ、そういう東宝東和マジックみたいなインチキも「込み」で楽しむ映画だとは、重々承知のうえで観に行ったつもりではあったんだけど・・・、
せめてそれなら中身は多少はトンでもか煽情的な内容であってほしかった・・・。
この手のエクスプロイテーションは、半笑いで客を帰せたら勝ちだと思うんだけど、これじゃあなあ。
金返せ!