「斬新な手法で描くイギリスのリアル」ブルー・ストーリー うむぼんずさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新な手法で描くイギリスのリアル
現代のイギリスで起きている日常の一部ということが最も怖い。ロンドンの治安は悪化しているらしく、調べればたくさん情報があり、知らなかったことばかりで驚き。
90分の映画であるがすごく長く重く感じる。それだけ没入感があり、濃厚。
学生時代でしっかりとティミーに感情移入し、ギャングパートではやるせない想いに包まれる。
監督ラップマンの実体験も元にしており、非常に生々しいギャングの姿が描かれているとのこと。
途中のラップも本人が語っているらしい。
これは賛否両論あると思うが、現代ロンドンそしてギャングを描いた一つの"寓話"としてみるならば、区切りがあることは演出上良いのかなぁと思う。
冒頭で「若者たちは何のために戦っているのか、争う理由を教える」と言っているが、結局プライドや嫉妬、報復がギャングの行動原理にある。
それは憎しみの連鎖とも言うべきもので、始まる理由が他愛もないことで"断ち切れない"ことが根底にありそうだなと思わせられる。
それぞれのリーダーは真逆の選択をする。
どちらも憎しみの連鎖から下りることを選ぶことは可能だった。結局、暴力や負の感情が生み出すものは虚しいだけのブルーストーリーである。
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Marikoさんのコメント
2021年4月21日
ほんとにやるせない気持ちになりました。
これがロンドンのギャングの世界と思うと、まだこんな事してるの?って正直驚きとともに、ため息です。
貧困や無学といった育ちの問題もかなり根深いですよね。
ラスト、更生した元リーダーの話で少し救われましたが、若いカップルの死が本当に悲しいです。