「現像に心動かされる根暗な映画オタク」浜の朝日の嘘つきどもと せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
現像に心動かされる根暗な映画オタク
時代の流れに逆らえず閉館が決まった映画館「朝日座」を何とかもう一度立て直そうと南相馬にやってきた浜野朝日とその町で出会う人々の話。
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今年はコロナも関係してか映画愛映画が多い。『ポンポさん』に『キネマの神様』に『サマーフィルムにのって』に。。それぞれ良さが会って映画好きとして全部に共感したけれど、本作は中でも1番「私たちには映画館は必要だ」だというメッセージが強い。
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「真っ暗闇でたった2時間でも現実の嫌なところを忘れられる」「知らない人達が集まってバラバラな感想を持つ」「どうしようもなく辛い時映画に心を救われてる人がいる」どの言葉も映画ファンの心を刺激しやがる。
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劇中で映画館を潰してスーパー銭湯を作るように、今のように未曾有の状況に陥った時どうしても映画(だけでなく音楽や舞台や色んなカルチャー)は疎かにされる。スーパー銭湯なんて家族でワイワイ行くんだから映画館より感染リスクは高いはずなのに、それでも銭湯の方が皆行くし雇用も創出する。悲しいなぁ。
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その他、映画についての話だけでなく、家族についての話でもあり、終始血の繋がりという幻想について登場人物から語られる。でも最終的に朝日は血は繋がっていなくても本当の家族のような関係を築いた先生と血の繋がりのある家族両方に助けられる。
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血が繋がっていてもいなくてもその関係は何かの拍子に簡単に崩れる。血縁に甘えてちゃんと話し合わないと、自分の中で家族への違和感が募るばかり。血が繋がっていれば分かり合えるなんて私も幻想だと思う。もし子供が出来たら、子供を自分の分身だと思っちゃわないように気をつけよう。
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朝日とパディントンみたいな館長のやり取りがとても良かった。
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