「誰もが繋がりを求めて」浜の朝日の嘘つきどもと Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが繋がりを求めて
福島県
関東と東北の間にあり
県を縦に三分割して西から
会津・中通り・浜通りと良く分けられ
浜通りは特に東日本大震災による
原発事故の放射線被害が大きく
震災から10年経った今も処理水や
放射能の風評被害
故郷を追われた住民の動向など
問題が続いている
この映画はそんな浜通りの原発のあった
南相馬市に100年前からあったが
シネコン・震災・コロナなどの影響も
ありほぼ廃業状態の映画館「旭座」
(実在する映画館だったようです)を
思いを持って救おうと画策する
「茂木莉子」こと「浜野あさひ」の
そうなるに至った回想録とこれからの奮闘劇
タナダユキ監督の映画は前作の
「ロマンスドール」も観ましたが
主人公の目線位置が絶妙で面白かったので
これも期待して観に行きました
で感想としては期待通り面白かった
テーマ的に映画のうんちくがちりばめられた
気取った作品になりがちですがむしろ
震災などの要因で家族の絆が壊れた
登場人物たちが映画・映画館という存在を軸に
つながっていく話となっていました
また今作はコロナ社会を取り込んだ作品となっており
震災では福島県が原発事故を含めとりわけ困難に
さいなまれましたが今回は世界全体が
苦しんでいる状況下をうまく重ねている
感じです
とにかく大久保佳代子が素晴らしいです
真面目で面倒見も良く生徒に人気のある
教師でありながら男にはまるでだらしなく
大の映画好きで同じところで何回も泣く
男運のない所は持ちネタのまんまで
当て書きしたとしか思えない配役です
このキャラのおかげで悲しいシーンの
はずが笑えてしまうシーンになってしまう
所はこの映画の巧みさの象徴的な
部分でした
結末もそれまでのエピソードが噛み合い
不思議と意外性を持ったものになります
その前に主人公が言ったセリフ
「いつまでもあると思っているとなくなってる」
これはコロナ下で行けなくなった店が
どんどんなくなっている状況も
示したものだと思いました
コロナ社会が徐々に映画にも取り込まれて
きていますが映画をも超える規模の環境下で
あるだけに映画の中でのリアリティに与える
影響は殊の外大きい気がします
今後どういった映画が作られていくのでしょうか