劇場公開日 2020年12月18日

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「今の憲法に全く興味のない人におすすめ」日本独立 七星 亜李さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今の憲法に全く興味のない人におすすめ

2020年12月31日
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鑑賞方法:映画館

正直、白洲次郎と吉田茂の描き方とか、近衛文麿とか、重要人物についての説明は雑なので、事前情報がないとよくわからないということが起こるようにも思う。
また、戦艦大和についての部分に関しては、憲法改正とは別のストーリーになるので、これも予備知識がないとちょっと難しい。

しかし、他のレビューでも読んだが、今の憲法がどうやってできたか、平和憲法と言いながら、実は全面的にアメリカの押し付けによるものだったという状況を
映画にしたのは初めて。ということを知って、全く興味がなく知らない人たちに知ってもらうためにはいいのかもしれない。

ただ、今の憲法には色々な矛盾をはらんでいるにせよ、このままでいいと思う人も多くいるということも事実だと思う。
たとえ、押し付けられたもので、独立国としての自衛権が脅かされているという内容であったとしても、
その部分をもやっとさせ、その時々で時流に合わせて都合よく解釈して今に至っていることもあるように思う。

もし、この憲法の内容でなく、日本政府が作成した内容だった場合、その後の朝鮮戦争、ベトナム戦争など、日本は参戦せずにいられたのだろうか。

日本は、外交下手だとよく言われる。この映画の中でもマッカーサーにドイツは45歳だが、日本は12歳だったということを言われている。
でも、現在、社会主義は崩壊し、民主主義の理念だけでは立ちゆかなくなっている状況で、
西洋的な何もかもをクリアにし、自分の権利を主張するということが、最後、正解に結び付かないことも起きるのではないか。
曖昧なままで、突き詰めないという、それを国の憲法とするのは正しくないのかもしれないけど、
押し付けられたものでさえも、それを完全に否定しなかったのは、その憲法の内容に共感できる部分もあるんじゃないかと感じる。

戦争に勝つ、負けるというのは、一時のことで、それで国自体が無くなってしまう訳じゃない。
吉田茂が、とにかく早く成立させて、早く独立に持っていくべきだと言っていたのは、一つの選択肢だったんだと思う。

七星 亜李