「苦悩から目覚めた西島と三浦の人生!」ドライブ・マイ・カー 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
苦悩から目覚めた西島と三浦の人生!
この作品は、西島が妻に対して本気で向き合おうとせず、放置した過去を乗り越えて、ステップアップしていく生き様を淡々と描いています。同じくドライバーの三浦も、母親を放置した過去の贖罪を乗り越えるという、二人の生き方がクロスオーバーしているところが、物語の深みを作っていると感じました。アカデミー賞を受賞した決定的な根拠は、私の想像では、キリスト教的な贖罪を乗り越えて解放されることをテーマにしているがゆえに、欧米の高い評価を得たものと思います。仏教的には、全て縁ですから、願って生まれることはあっても、人間にはもともと罪などありません。最後にはチェーホフ特有の人生論が語られますが、苦しみがあればこそ、人生の景色は美しくなるというセリフは、まさに西島と三浦の人生を言い得ていて、心に深く刺さりました。村上作品は、ストーリー展開の巧みさより、鋭い感性の積み重ねで、読者を惹きつけ感動させるタイプですから、淡々とした人生の展開は、物足りないものもありますが、それでもどんでん返しがあって、私たちを至福のラストに運んでくれました。ただし純文学風の感性が至る所にあって、エンタメ映画を見慣れた人には、少々疲れるかもしれません。この作品の中で、広島から新潟の佐渡?にドライブするシーンがありますが、故郷の見慣れた風景に感銘しました。あと、オーディションで募集を行い、練習を重ね、劇場で演劇を開催するまでのプロセスを、しっかり学べるという意味でも貴重な作品です。さらにもう一つ、西島と妻、あるいは妻と岡田とのベッドシーンは、この監督らしさでしょうか、芸術的な妖艶さが溢れていて唸りました。
三輪さん。
みかずきです。
本作、会話劇の部分は、邦画らしい、緻密さ、繊細さを感じました。
手話を加えた多言語舞台劇部分は、設定上難しいかもしれませんが、
邦画らしさがあまり感じられませんでした。
邦画が世界的評価を受けるのは嬉しいですが、
邦画らしさというアイデンティティは大切にして欲しいと思います。
邦画らしい邦画が世界的評価を受けて欲しいです。
では、また共感作で交流しましょう。
-以上-
まずは、村上春樹とこの映画は別の物語として、見るべきですね。
贖罪か。なるほど、生まれながらに持つ罪って、東洋系特に日本人には分からないですよね。もう一度、見て、最後に顔にキズがあったかを確認してみようと思います。
ありがとうございます。