「生きることは不条理だ」ドライブ・マイ・カー ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
生きることは不条理だ
ゴドーを待ちながらしかり、多言語で構成される舞台しかり、現実社会は不条理に満ちている。一番近い存在ともいえる夫婦でも家族の中でも、愛も裏切りも暴力すらあるように。
こんな不条理で謎だらけでわけがわからない世界で生きているわけだけど、でも、苦しんで閉ざしていた感情が、心を開き合うことで浄化される瞬間がある。あっていい。そういう奇跡みたいな時間と空間が、車を運転するみさきと同乗する家福に、もたらされる。
能弁すぎるくらい描き込まれた箇所もありながら、見る人に委ねるモチーフ的表現もあり、そのあたりのバランスもよいと思う。ラストも余韻が残る。
映画を観ることの豊かさを久々に味わった作品。
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