「新感覚ミステリー」ドライブ・マイ・カー Jさんの映画レビュー(感想・評価)
新感覚ミステリー
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物語の冒頭から終盤まで車中でカセットテープから流れる演劇の台詞が印象に残る。
主人公である家福は演出家であり、自らも舞台に立つ役者でもある。
家福は妻の浮気を目撃してしまうが、怒るわけでもなく何事もなかったかのように振る舞う。
実はこの夫婦は4歳になる子供を肺炎で亡くしていた。
その事から妻である音は傷心し立ち直れずにいたが、ある日からセックスの最中に物語を語るようになる。
音は大事な話があると言い残し、くも膜下出血により病死する。
2年後、ある演劇祭の仕事で広島に向かい、そのドライバーとしてみさきが登場する。
徐々に距離を縮めていき、お互いの過去のことを話し始める。ラスト近く演劇の台詞が劇中の主人公達にも重なるようなセリフ、不幸なことだらけだけど生きていくしかない、あの世に行ったら神様に憐れんでもらおうというよつな台詞がこの映画の主人公達を表しているように感じた。
終盤まで感情を感じなかった主人公が自分自身に向き合い本当の自分を解放していた。みさきと対話し、重ね合わせることで自分自身と向き合っていたんだと思う。
村上春樹は以前に読んで苦手だと感じていたが、やはりこの不思議さは苦手である。
ただ、映画として引き込まれた。ストーリーが緻密で丁寧に描かれていた。
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