「長いのには訳があるのでしょう」ドライブ・マイ・カー h-nagisaさんの映画レビュー(感想・評価)
長いのには訳があるのでしょう
約三時間、たしかに長いけど退屈はしない映画でした。
そしてその長さを受け止めるだけのラストのモチーフはありました。
また、その長さを受け止めるだけのカタルシスもありましたが、その勢いは弱く描かれているようでした。
映画では悲しみや苦悩に絡め捕られたどん底の精神状態を描いてませんが、低位安定の凪ぎの状態をずっと描いている構成はなかなか緊張感があって良かったです。
というより、彼らは無意識か意識的にかはわかりませんが、直面した不幸から回避し続けることを選んだがために、低位安定の精神状態だったのかもしれません。
その状態を反転(再生)するにはじわじわとした時間が必要であったし、反転(再生)するにしてもじわじわとしたカタルシスになるのでしょう。
あのラストにはあの長さが必要であったのだとおもいます。
コメントする