「世界観にゆっくり浸るのにオススメ」ドライブ・マイ・カー Sakikoさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観にゆっくり浸るのにオススメ
あの短編小説を、どうやって3時間の長編に??と思いましたが‥
チェーホフの『ワーニャおじさん』の演劇製作と並行しながらの、ストーリー展開には引き込まれました。
劇中劇の対話、家福とみさき、高槻との対話、音から紡ぎ出される語り。
印象的だったのは、高槻が、「他人の心をそっくり覗き込むことはどんなに愛している人でも無理。でも、自分の心はしっかり覗き込むことができる」とゆうところ。それから、みさきが、夫以外の男性と関係を持っていた音のことについて、「謎ではない、ただそういう人だった」みたいにゆうところ。なんか、ちょっと、救われるような気持ちになったんだけど、なんでかしら。
ちなみに、岡田将生演じる高槻が追突事故を起こしているシーンでは、どうしてもアクサダイレクトのCMが頭をよぎりました‥
こんにちは。
とても印象深い映画でした。この夫婦は、お互いを思っていたのに、何故かキチンと向き合うことがなかったですね。色々な何かが邪魔してたんでしょうね。
もしも家福が自分の傷付きを認めて、音と向き合えていたら、音の話を聞けていたら、(それまでの二人とは変化してしまうとしても)、幸せな未来があったのかな。
それとも音は、「言い出せずにぐずぐすするうちに、最悪な結果になってしまった」なんて言うのかな。
音の語りは「シェエラザード」、家福の傷付きの話は「木野」ですね。
村上春樹の長編は余り好みではないのですが、短編はゆっくり言葉を楽しみながら読めるので、好きです。
今晩は。
私はこの映像作品がとてもとても好きでして。(再上映の映画館が多く出て来ることは、嬉しき限りです。)
上映後、客電が灯ってからも暫く余韻に浸りながら席に座っていました。
私はハルキストではありませんが、原作の「ドライブ・マイ・カー」は結構アッサリしていたのになあ、と大学以来20年振りに「ドライブ・マイ・カー」を再読し、今注目の今作の濱口監督の脚本の凄さに唸りましたね。
御存じの通り、今作は「ドライブ・マイ・カー」+「シェエラザード」+「木野」をミックスドアップした内容で、作品の深みはここから醸成されていたのか・・、と思った作品でしたね。では。