「村上ワールドの映像化」ドライブ・マイ・カー サンカンテアンさんの映画レビュー(感想・評価)
村上ワールドの映像化
村上春樹の50ページにも満たない短篇を換骨奪胎、翻案して3時間近い大作映画に仕立てた。
まず前半、家福が妻と死別するまでが東京舞台。その2年後に配役を募集して『ワーニャ伯父さん』を公演するのが広島。私はこの広島篇がおもしろかった。家福の雇われドライバーのみさきの故郷を訪ねて北海道まで旅するところはやり過ぎな気がしたが全編観終えて満足感があった。演劇論としてもその登場人物たちのドラマとしても、言葉を統一せずそれぞれの母国語、手話も交えて台詞にしたところもおもしろいし、映画として充実していた。ドライバーの寡黙なみさきとの関係性も恋人になるわけではないけれど、それなりの進展がある。
西島秀俊も岡田将生も好演。三浦透子もそれから韓国陣もみな名前もしらなかったが、この映画を重層的なものにしてくれた。ひとり亡くなった音の役だけがどうも違和感を持った。
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