劇場公開日 2021年8月20日

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「丁寧に練り込まれた脚本と俳優の魅力を存分に惹き出した作品」ドライブ・マイ・カー 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0丁寧に練り込まれた脚本と俳優の魅力を存分に惹き出した作品

2021年10月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

『ドライブ・マイ・カー』と濱口竜介は間違いなく日本を代表する映画と監督になるだろう。
最初のベッドと最後の舞台のシーンがとても美しく歴史に残る。オープニングから一気にその世界に惹き込まれた。

劇中劇と現実がシンクロしていく秀逸な構成。「ワーニャ伯父さん」のセリフとリンクしていく脚本のため、その演劇を知ってから観るとまた分かるものがあると思う。

ほぼ車の中の会話劇だが、3時間という長さを感じさせない。
車とバーという密接だけどパーソナルスペースを守られ心の距離を近づけられる場所を効果的に使い、人と人の心の通わせ方を描く。

心に傷を抱えた人たちの物語だが、慰めではなくその先にある強い希望を感じた。僕たちはそれでも生きていかなくてはならない。
すべてを受け入れて心を通わせることが、この世を生き抜いていく術ではないだろうか。

そして人には「物語」が必要。人生という物語を生き、自分という主人公を演じきる。

役者とは面白い生きものだ。
実力派俳優たちの表情と佇まいの演技に引き込まれる。役者を際立たせた演出。特に長回しのシーンがじんわり響く。

コロナ禍にこの作品を生み出したのはとても意義がある。

もの語りたがり屋