「「心」への敬意がない」ドライブ・マイ・カー 規子さんの映画レビュー(感想・評価)
「心」への敬意がない
村上春樹氏は多分、人の心を「わからないもの」として取り扱っており、特に短編では、その輪郭を丁寧に描くことで、読者に中身を想像させているのだと思います。
そこが面白い。
でもこの映画は、監督か脚本家かはわかりませんが、「女は男がわかってあげなくちゃいけない存在」といった古くて尊大な感覚で、人の心を「わかったつもり」になって作った映画に感じます。
もちろん、わかったつもりにならなければ映画にならないという事情もわかりはしますが、キャストの演技がうまいだけに語りすぎ、説明しすぎに感じてしまう。
そしてその説明がひどく頓珍漢に感じる。
村上春樹の世界観の表面だけを真似ているため、中身との齟齬が余計に気になってしまいました。
村上春樹原作でなければ我慢できたのかもしれませんが……。
この監督とは相性が悪いなと思いました。
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