劇場公開日 2021年8月20日

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「静かな3時間・・☆」ドライブ・マイ・カー ☆ムーミンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0静かな3時間・・☆

2021年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作を読んでいて、あの短編小説をどうやったら 3時間の映画に出来るのか?と
いうのが最初に感じた印象だった。
だが、鑑賞前の雑誌等のレヴューを読んで、かなり多角的に肉付けされた作品に
なっていることを知り、むしろ期待して見にいくことになった。

冒頭の妻役・霧島れいかが主人公の西島秀俊演じる夫の家福に語り出す物語は、
村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」が収録されている「女のいない男たち」の中に
ある「シェエラザード」の中で、女性が語る物語に酷似しているし、途中で登場する
バーのシーンも「木野」という作品へのオマージュのようだった。

しかし、全編を通じて一番印象深かったのは静けさだった。
昨今の邦画にありがちな過剰なまでのBGMがなく、各シーンそれぞれが淡々と
繋がれていく。
そうしているうちに、西島秀俊とドライバー役の三浦透子演ずる渡利みさきと
一緒に過ごしているように思えてくる。
三浦透子が秀逸で、あの無表情の中であらゆる感情が表現される気がする。

多言語の演劇や岡田将生、ラストの北海道へのドライブなど印象的なシーンは
たくさんあるが、それでも静かな映画というのが見終わったあと最初に感じた
ことだった。

村上春樹のファンとか関係なく、映画の好きな人には観る価値がある作品
と思えた。

☆ムーミン