「美しく重層的」ドライブ・マイ・カー tamamaさんの映画レビュー(感想・評価)
美しく重層的
濱口竜介監督のこれまでの作品から感じていた、人間の深さと複雑さと不可解さ、様々な事柄が重層的に表現される映画の奥深さを、本作では予想をはるかに超える厚みで感じた。こんなに素晴らしい映画を創ることができる監督の力に心底驚いた。
絶望と隔たりががあるからこそ希望のかけらを信じようとする人間の姿は、あまりにも美しい。同監督の2015年の『ハッピーアワー』も5時間越えのわりに時間を感じなかったが、本作はさらにというか全く、3時間があっという間だった。観終わってすぐにもう一度観たくなったし、何度も観に行きたい映画。観るたびに気づくことがまだまだありそうだ。本作を同時代に新作として観られたことに感謝したい。映画というもののすばらしさにも改めて気づかされた。それほどまでに凄い映画。
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