「映像旅」ドライブ・マイ・カー サリーさんの映画レビュー(感想・評価)
映像旅
原作を読む代わりにカンヌ受賞作を見ようと。他の村上春樹作品は読んでいるので、だいぶ忠実に映像化されているのではと思いました。途中まで、村上春樹はやはり逸脱してる部分がある(平たく言えば、頭おかしいなこの人)と思ったが、あるシーンでちゃんと回収したというか、村上春樹が自分の逸脱した部分を受け止めていたので安心して見続けられた。
こんな言い様ですが村上春樹好きなので、きちんと描かれて見続けられたのは嬉しかったです。とある歌詞を借りるなら、ぼくの心のやらかい場所をぐっと掴んでくるので、刺激が強いのですよね。でもまた読んじゃう。
夫婦親子の擬似的な対話と、虚構(嘘)を作る演出家や俳優という装置。他の村上春樹作品にもロードムービー的なものはあるが、本作が映像化されたのは必然だったように思う。手話がとくに、視覚的に説得力がありました。
役者さん達の演技は概ね安心して見られて、特に岡田将生さんは達者すぎる俳優の役にハマっていた。大豆田とわ子と〜の後なのでギャップがそう思わせるのかもしれません。
三浦透子さんの、無駄な要素が一切無い(煙草ぐらいか)キャラクターが光って見えました。
演劇も、ドライバーのいる遠回りなドライブも、自分以外が居て成り立つ、かつ一見生活に必要がないことが懐かしく、光って見えます。映画も文学もですね
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