「長さを感じさせない、素晴らしい作品。」ドライブ・マイ・カー 涼介さんの映画レビュー(感想・評価)
長さを感じさせない、素晴らしい作品。
タイトルから、ロードムービーで、車の持ち主とドライバーの物語だろうと、想像してたら、全く違ってました。
都内に暮らす夫婦、旦那は舞台俳優兼演出家、妻は脚本家。2人はとても仲良しで、セックスをしては一緒にアイデアを詰めていた。ある日、旦那が仕事の都合で予定外に帰宅すると妻が男とやってた。旦那は見て見ぬ振りをして生活を続けていた。それも幸せを守る為だよね。分かる気がする。そんな生活が続いていたのに妻が突然死。そこで一部が終わり2年後の二部がスタート。
舞台は広島、俳優を辞めて演出家としての仕事で2ヶ月程の滞在予定だ。そこのルールでドライバーは本人以外の人がやらなければならず、若い女性が彼の担当になる。
あら、これ、ドライブ・マイ・カーじゃなくて
シー・ドライブズ・マイ・カーじゃね?て思いながら観てると、だんだん分かってきた。
彼がクルマに乗るたびに死んだ妻の声を聞いているのも、吹っ切れていないから。
マイ・カーって自分の人生の事だったのね。この前観た映画はセーリングだっけどな。
だからマイカーはサーブ900ターボ、彼の生まれた年と同じ型なんじゃないかな。若手の役者が乗ってたボルボは新しかったもんね。なぜどちらもスウェーデン車なのかは謎だけど、人生の厳しさと環境の厳しさを重ねたのかな?
劇中劇もビックリ!字幕付き多言語の舞台、それに韓国語の手話まで!!
主役の西島秀俊もメッチャ良かったけど、1番共感できたのは、岡田将生演じる若手俳優、多分彼は元妻の相手。恋愛感情とは別にエッチをしたりする。空っぽで、自分をちゃんとコントロールできない奴。それ、俺じゃん!
とにかく、人生は大変。順風満帆かと思えば故障したり事故ったり。あちらの世界に行ったら、神様に、自分はとっても苦しみましたと、胸を張って言いましょう。
ん?最後は伏線あっても良かったんじゃないかな。