劇場公開日 2021年8月20日

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「煙草の煙の中でモヤる感じ」ドライブ・マイ・カー momoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0煙草の煙の中でモヤる感じ

2021年8月23日
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1台の車を長く愛して乗り続ける人は恋愛にも一途でその人と何らかの理由で別れてもずーっと長く吹っ切れないタイプの人だと思う。
特に車検の関係上、重量税が高くなる13年が目安だと思う。
それ以上乗り続ける人(私も18年を超えた!)は、別れたのでは無くましてや愛する人が亡くなったりしたら生涯うじうじ悔やみ続けるのだ。
車を廃車にもしなくないから、自分が手放す決意をしてもまだどこか異国の韓国ででもいいから、誰かに乗って欲しいのだ。
しかも出来れば知らない人ではなく信頼出来るその車を大切にしてくれる人に乗って欲しいのだ。
それがあのラストシーンにも現れていると思われる。
世の中には同時に何台もの車に乗り、しょっちゅう車を乗り換える人も多いのだから。
サーブ900ターボの赤が広島や北海道を走るシーンは美しい。
原作では黄色のようだが、黄色と赤では随分映画ではイメージが変わるところだ。
でも、赤もなかなかよかったと思うし、運転手に車の中では暖を取るのは良いが、煙草を吸うなと言っていたのに、心通じて一緒にルーフを開けて2本の煙草を天に向けるシーンは最高に素敵だ。
運転手が北海道の、亡き虐待母に手向ける線香替わりの煙草も印象的だ。
花は買ったのだから線香も買えたはず。
惜しむらくは、妻の死因が子宮癌という設定が映画では伝わらなかったこと。
ここ大事だと思うんだけど。
話したいことがあると言ったのが病状の事で本人に癌の自覚があったということなら理解しやすかった。
妻が自らの病気を知っていたが故に自分が死んだ後のことを考えて の浮気だったらどうだったのだろう。
夫が自分を嫌いになって次の人生を前向きに歩めるようにという夫への愛情から、複数人の愛してもいない男との情事を繰り広げていたという可能性が感じられるシーンはなかった。
夫、西島秀俊が知らない情事の後の寝物語の続編を間男、岡田将生が知っているというのは胸が傷んだ。
だからこそ妻が夫を愛していたことをもっと描いてほしかった。
妻も間男もちょっと嫌な奴に感じてしまったけど、やってるやな行動の裏面をもう少し感じさせて欲しかった気もする。
それと、雪道を走り、たどり着いた運転手の故郷でうら若き女性運転手を抱きしめる主人公は西島秀俊だったから許されるのよ。
その辺の小汚いアラフォーオヤジだったら許されないからね!
演劇のオーディションから、ホン読み、立ち稽古、舞台稽古、本番と流れていく中で、言葉が通じることは意味がさほど強くないことに気がつく。
言葉って無力だな。
語るな!感じろ!
ってね。
全編そういうことなのかな。妻も語らず夫に真意を感じて欲しかったのかもな。
いいシーンも随所にあるので、描ききれていない感じや、モヤモヤした気持ちが残らなければもっとよい点数が付けられたのかもしれない。

momo
2021年8月23日

momoさんへ
子宮癌の設定。
momoさんの考察した愛のストーリーなら大好きな映画になったと思います。
ショックでした。
何故こうなった⤵️成立はしてるけど…

黒リネン