劇場公開日 2021年8月20日

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「心のハードル」ドライブ・マイ・カー コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5心のハードル

2021年8月22日
PCから投稿

大切な人と向き合わないことでやり過ごし、そのうちにその人が病気や事故で亡くなったら、向き合わなかった自分が許せなくなり、後悔と喪失感に溺れて上手く息が出来なくなる。
そんな大人たちの破滅と再生とを描いている作品でした。

キャラに自分の過去~対話せず目を背けて逃げてきた相手(例えば妻や親など)の存在を重ね合わせられるならば、画面に写る美しい景色とともに没入感を得られるだろうとも思います。

見せ方が映画というより、ドキュメンタリーの手法に近い。
感情を明示するセリフが極端に少なく、長回しで「感じ取らせる」技法を多用している。
だから主人公・家福(西島秀俊)が抱える亡き妻・音への後悔、怒り、悲しみを掘り下げるという意味で、尺の長さや、風景描写、他者との関わり、ヒロインみさきや、高槻との会話が必要なのも理解はできます。

ただ、その後悔の記憶に、性行為が関わってくる話なのが心のハードルとなりました。
昨夜食べた食事の内容を話すように、妻や恋人とのセックスで何を喋り、何をしたかを他人にこと細かに語るという行為が、どうにも馴染めない。
(賞賛されたフランスでは、抵抗ないのかもしれないが)
役者兼演出家の夫と、脚本家の妻という組み合わせも、おしゃれすぎて、東京と広島の話なのに、海外での出来事に近い絵空事のようにも感じてしまった。

140分くらいに絞りつつ、みさきの持つ過去の方がリアリティあったので、こちらを軸にした物語で観たかった気もした。

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コージィ日本犬