「変わる世界」DIVOC-12 やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
変わる世界
まず最初の四本は、“共有”をテーマにした作品だったんですけど、私はこのブロックを感触がテーマの作品だと勘違いして観ていました。
誰かに手を握ってもらった時、誰かに抱き締めてもらえた時の感覚を大切にしている作品に思えたから。
それで、次が“感触”がテーマの四本だったんだけど、ここが成長がテーマの作品だと思い込んでたの。
そしたら、最後の四本が“成長への気づき”がテーマだったんです。
この四本は、コロナ禍を経験した事で感想が変わってきそうな作品だと思いました。
ここからは、作品ごとの感想を少しずつ。
『睡眠倶楽部のすすめ』
この作品、素敵だなと思いました。
まず、人物を撮る角度とか映像が好きな感じだったんです。
それで、映画は静寂な雰囲気の落ち着いたテンポで始まって、主人公は段々と喧騒の中に戻って行くのだけど、ゆっくりとした空気感だけは流れ続けるの。
それが、自分のペースで良いんだと語りかけている感じで良かったです。
『YEN』
これ、ちょっとドキドキした。悪い方に話が進むかもと思って。
ちゃんと、落ち着く所に落ち着いて良かったです。
『海にそらごと』
人と人の絆って、どこか依存している部分も有ると思うの。
それで、良いんじゃないかと思える作品。
『よろこびのうた Ode to Joy』
これ、コロナ禍でなくても日本の問題になっている部分を取り扱った作品かな。
内容が有る分、この長さだと物足りない感じも有ったかな。
『あこがれマガジン』
オシャレな感じが良かった。
それが有って、現実との差がはっきり出てましたね。
『魔女のニーナ』
これもオシャレな作品。
しかも全体的に温かい空気が流れている感じがするの。
この作品、好き。
『死霊軍団 怒りのDIY』
振り切った笑えるタイプのゾンビアクションなんだけど、自分を見つめ直す様子も上手に入ってました。
最期のワンシーンも面白かった。
『ユメミの半生』
上田監督の映画愛を感じる作品。
映画の世界は現実の世界より自由で、現実の世界と違ってどこまでも広がる物なんですよね。
『流民』
これ、私にはちょっと難しい作品でした。
『タイクーン』
前半の忙しなさ、後半の緩やかさの緩急と、時を刻む時計が巧く嵌まってた。
時の流れって同じはずなのに、同じじゃない。不思議な物ですね。
『ココ』
これが一番重いかな。
コロナ禍で人生が変わってしまった人がいると思います。
ただ、コロナ禍のせいで人生が変わってしまったのかは、誰にも分からないのかも。
『名もなき一篇・アンナ』
もっと観ていたいと思わせるくらい、情景とその中で微笑むロン・モンロウさんが美しかったです。
コロナ禍で世界は変わってしまったかも知れない。
そして、自分一人では世界は変えられない。
結局、変える事が出来るのは自分で、自分が変わらない様にする事が出来るのも自分なんでしょうね。