「マーメイドではなくセイレーン。フランス映画の人魚は恋をしようが努力しようが人間にはなれない」マーメイド・イン・パリ 小磯栄一さんの映画レビュー(感想・評価)
マーメイドではなくセイレーン。フランス映画の人魚は恋をしようが努力しようが人間にはなれない
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邦題は「マーメイド・イン・パリ」なんだけど、映画の最初に出てくる原題をよく見てください、「Une sirene a Paris」、つまりセイレーンなんだ。その歌声を聞いた船乗りは錯乱して死ぬ、という、あのセイレーンだ。ディズニーシーの「シンドバッド・セブンヴォヤッジ」(リニューアル前のやつ)に出てくる。
日本人が人形というと、リニューアル後の「シンドバッド・ストーリーブック・オブ・ヴォヤッジ」に出てくる「嵐を教えてくれる親切な人魚」みたいなモンを思い浮かべるけど。違うんだよ。
この「パリのセイレーン」も、そういう話です。
人魚がセーヌ河に打ち上げられているってのも、シュールだけど。その人魚は、保護しようとする親切な男も弱らせて殺してしまうという因果な「妖怪」なんだ。だからこの映画は喜劇のようでも悲劇のようでもある。さすがフランス映画だけあって、ものすごく変わってる。
ディズニー映画なら、こういう生涯は努力か魔法かなんかで乗り越えられる、「夢は必ずかなう」んだけど。
そうはならないのが人間の世の中だ、ってのが、フランス映画らしい。
不思議な気分に浸れる。楽しいばかりでもない映画だ。
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