マーメイド・イン・パリのレビュー・感想・評価
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奇妙で可愛らしい小世界を巧みに彩った幻想譚
夜な夜なパリの川辺では不思議なことが起こる。おそらくこれが東京やニューヨークやロンドンだと全く成立しないのだろう。パリだからこその幻想譚。怪奇性と童話性を絶妙に混ぜ合わせたストーリー、カラフルな色遣い、キャラクターがなぜかしっくりくる。また、大風呂敷を広げすぎない設定に好感が持てる。そうやって世界観をしっかりとコントロールしているように思えるほど、本作は切なくて独特で、可愛らしい。そうそう、音楽やダンスといったパフォーマンスも魅力の一つ。素晴らしい芸術は人の心を根こそぎ奪うものだが、ここでは美しい人魚の歌声が文字通りに人間の命を奪う。そんな感情と結果があらぬ角度で結びつくところも面白ければ、愛を失った主人公がその特性ゆえ彼女の歌声や想いを逆にしっかりと受けとめることができるのも捻りが効いている。どこもかしこも奇妙なことばかり。だが、裏を返せば実にストレートなラブストーリーなのかもしれない。
設定は「人魚姫」でテイストは「アメリ」
そもそも人魚は、ホメロスの「オデッセイア」に登場し、18世紀になるとアンデルセン童話の「人魚姫」として広く知られる悲恋のヒロイン。陸に上がったマーメイドが人間の男と恋に落ちるが、やがて彼女は海に帰らなければならないという設定は、多くのアーティストのクリエイティビティを刺激。ロン・ハワードはダリル・ハンナとトム・ハンクスでファンタジーラブコメの「スプラッシュ」を作り、ディズニーはアニメ・ミュージカルの「リトル・マーメイド」(実写化も決定)を製作した。共通するのは夢と恋と笑いだろうか。しかし、このフランス映画はちょっと違う。マルチアーティストとして活躍するマチアス・マルジウ監督は、その歌声で男たちを死に至らしめてしまう人魚と、失恋の痛手から2度と恋はしないと決めたウクレレ奏者の男を主人公に、ままならない恋愛の奥義をフランスのエスプリをたっぷりと含ませて描いている。シチュエーションは「人魚姫/ファム・ファタール版」で、テイストは「アメリ」。特に1950年代を意識した美術と、監督自身が作曲した音楽が目と耳に刷り込まれる。コロナ禍の影響でパリでは公開後わずか3日で上映打ち切りとなった本作が、日本では少しでも多くの観客の目に触れて欲しい。今こそ、人々はファンタジーを欲しているのだから。
主人公と半人半獣の異種恋愛の物語類型をなぞるが、ポップでキュートな仕掛けはさすがフランス流
広く捉えるならギリシア神話や日本神話の頃からある「異類婚姻譚」の一種だが、近現代の社会に人魚が現れる実写映画に限定するなら、アンデルセンの「人魚姫」を現代的にアレンジしたトム・ハンクス&ダリル・ハンナの「スプラッシュ」がこのサブジャンルの定型を確立したと思う。人魚と人が恋に落ち、街でしばしの逢瀬を楽しむが、科学者や軍といった敵による拉致の危機が迫り――というパターンだ。「シェイプ・オブ・ウォーター」は「スプラッシュ」の男女の設定を入れ替えて(男が半魚人、女が人間)終盤の展開もほぼ完コピーだったし、この「マーメイド・イン・パリ」もかなり「スプラッシュ」に近い筋ではある。
もちろん本作には、人魚のルラが歌で男を魅惑して死なせる(ローレライ伝説からの着想)、ガスパールが過去の失恋(ハートブレイク)で心が壊れているためルラの歌で死なないなど、気の利いたアレンジもある。そして何より、「アメリ」やミシェル・ゴンドリー監督の諸作、比較的新しいものではセーヌ川の船上レストラン/バーが重要な舞台になる点で本作と共通する「ロスト・イン・パリ」などのように、フランス映画で時折見かける、ポップでキュートな美術や仕掛けが物語を巧みに盛り上げ、オリジナルな魅力を高めている。
本作が初の長編実写映画となるマチアス・マルジウ監督は、デビュー作がアニメーション映画「ジャック&クロックハート 鳩時計の心臓をもつ少年」だそうで(予告編だけ見たが、デフォルメしたキャラ造形とダークな雰囲気がティム・バートン監督っぽくていい感じ)、本作のオープニングなどでもその才能を垣間見せる。今後の活躍が期待される多才な映像作家だ。
パリの河には人魚がいるのだ
2021.3.4(木)
今日は新宿ピカデリーで「マーメイド・イン・パリ」を。
ファンタジーだが、捻る方向を変えるとえらいダークなファンタジーになる設定だ。イタリア映画なら怪奇ものかな。でも、これはフランス映画なので、そうはならない。クレイアニメからそのまま実写に移行して、ラブファンタジーの世界へ。
何故か「スプラッシュ」の時にダリル(半裸)ハンラなんてダジャレを言っていた最近大腸癌で亡くなった友人Kを思い出してしまった。Yさん、感想ばかり他人に聞いてないで、早く新宿ピカデリーに観に行きなさいよ。
逆に捻ると、イタリア映画、監督ダリオ・アルジェント「恐怖の殺人人魚ルラ」殺人人魚と復讐の女医とストーカー女の血で血を洗う復讐劇!なんて映画も出来そうです。
タイトルなし(ネタバレ)
ミュージカル風に仕立てた楽しいストーリーになっている。
もう少し音楽を盛り込み、アニメーションを重ねてくれれば、傑作だと思うが、かと言って、減点する要因も無い。もっとも『人魚』の原作は哀れな話だが。それでも、愛する者への哀れな部分を残している。
ハーモニカを向かい合って吹く場面で、音が二人とも出せると、ハモっていた。フランス映画はこうでなくちゃ。
涙が銀色の粒になってこぼれる。小道具がその後のストーリー展開に役立って来る。
飛び出す絵本はCGだろうが、効果的に使われている。まぁ、傑作だと思うが。
タイトルなし(ネタバレ)
居間で流れていたので。
こんなに最近の映画だとは。
1970〜80年ぽい雰囲気と色調の映画だった。
お風呂のバスタブにいる人魚が…甘く切ない…。
22.6 スカパー
ちよっと切ないラブロマンス
ニコラデュボシェル扮する40歳になるパフォーマーガスパールスノウは、川辺で倒れていたマリリンリマ扮する人魚をトゥクトゥクに載せて家に連れてきた。何故からガスパールには人の命を奪う人魚の歌は通じなかった。人魚はルラと名乗った。ルラは2回日が昇る前に海に帰らないと死ぬと言った。
人魚は人類の敵なのか。でもガスパールはルナの傷を治そうと機嫌とりに必死。ルラが火事を起こしてもガスパールは怒りもせず優しいね。ルラが可愛いからなんだろうな。一緒に歌ったりして。隣のおばさんロッシも騒ぎ立てもせず協力してくれて。でもルラに恋すると死んでしまうのは悲しいね。ちよっと切ないラブロマンスだったね。なかなか楽しませてもらったよ。
人魚の歌声はリズムが決まってる?
あらすじを知って勝手に人魚が男を翻弄し続ける映画でスリラー映画かと思っていた。
どこかでルラが裏切ると思っていた。しかし予想とは異なり、観終わってから自分の心の汚さに切なくなった。いつからだろうか…素直に映画を観られなくなったのは…それは本心?と疑ってしまう。
ルラの女優はとてもキレイで人魚にピッタリだった。他にも出ている作品を観てみたい。
ロッシーの女優は一度観たら忘れられないあの女優じゃないか。「マダムのおかしな晩餐会」でもインパクトあるキャラクターを演じていたが、本作でもかなりのインパクトあるキャラクターだった。ルラの女優とは別の意味で他の作品も観てみたい。
※追いかけてた女医がもう少ししぶとければまた違った面白さがあったと思う。
僕の元カノと同じ数
憎しみと、献身ならば、愛育つ❓‼️
マーメイドかぁ
軽いラブコメかと思いきや、マーメイドの歌で人間が死ぬと言う…おとぎ話のテイストがしっかり活きている。
どこか浮世離れした雰囲気が作品全体にあふれており、おフランスらしい作り(笑)
どのキャラクターも一癖も二癖もあり、普通の社会に生きてなさそうである。
そしておフランス映画であるため、主要命題は“恋”
マーメイドは陸揚げから2日しか地上では生きられないと言うわりに、のんきに色恋の物語が続く。
人魚のウラは人間社会どころか、食べ物の区別もつかないので、ガスパールの部屋を火事で台無しにし、人間を殺す歌を歌うので実際にいればこの選択はないだろうと思うが、なにしろファンタジー仕立てのこのドラマ、足の代わりにデカイヒレが着いてても誰も突っ込まない。
人魚の涙が真珠なのは常識なのだろうか?人魚の伝説はよく知らないのでこう言う生態は「昔聞いたような…」位にしか知らず一瞬、変な涙と思ってた。
フランスの感覚ってこう言うもんなのだろうか?
自分には合わなかった。
ルラとガスパールパリを行く
姿かたちは確かに人魚だけど、歌声で男たちを取り殺すというのだから、原題どおりセイレーン寄りのお話。ディズニー的なメルヘン世界よりは、安部公房の「人魚伝」の無気味さに通じるものがある。
人魚を地上に連れてきてからは浴槽に入れておくしかないので、展開の仕方にさほどバリエーションがあるわけでもないが、飛び出す絵本や船上のショーパブなど、万華鏡のような小ネタが楽しいので、良しとしよう。
ダリル・ハンナ版もそうだったが、極力胸が見えないように配慮しているのが若干気になった。コンプライアンスの都合なのだろうか。人魚に羞恥心はないと思うのだが。
ルラは最後の人魚とか言っていたので、絶滅危惧種ということになる。ガスパールと交配したらハイブリッドを残せるのだろうか?心配である。
かつてボーイだった男が人魚ガールと出会い一生を懸けた恋におちる。これは現代のファンタジックなおとぎ話です。
人魚が登場するお話って、気になります。
最近だと「ジョゼ」にも人魚の話が出てきたよなぁ
なんて事を思いながら鑑賞しました。
セーヌ川の岸辺でうたう人魚
その妖しい声に魅了された男たちは
幸せそうな笑みを浮かべて水に入り、命を落としていく…
この人魚、母親を人間に殺され、
復讐心に燃えているのでした。 …なんと
通りすがりの男に 甘い声で歌いかけ
声に誘われ水の中に入っていく男たち…。 あれー
ある夜
主人公の男は仕事の帰り道にその場所を通り掛かる。
歌声は聞こえないのだが
…と
岸辺に倒れている何かに気がつく。
「人魚…」
尾びれに怪我をしているようだ。
近づいて抱き起こす。
…と
人魚が男に気がつく。
慌てて歌を歌いだすが
男には何の変化も起きない。
「 ???…」
この男には、水の中へ誘う力が通じない…
またぐったりとする人魚。
※実はこの男
あまりにも多くの女にフラれ続け
女性への「恋心」が欠落しているらしい …なんて悲しい過去…
慌てた男 考えた末に
自分の住むアパートへと人魚を抱えていく。
そして
人魚と男は
一つの部屋で暮らし始めるのだが…
◇
恋に破れ続け、恋愛感情を失った男は
人魚の世話をするうちに
次第にこの人魚に惹かれていく。
復讐心から人間の男を死なせ続けた人魚は
男の介護に傷が癒え、
気分が良くなるとつい歌を口ずさんでしまう。
すると効果てきめん
人魚の歌声で胸が苦しくなる男 (汗) …あらら
そう
男は人魚に恋してしまい
人魚も男に恋してしまったのでした …
このまま一緒にいると
男は 歌声の魅力にとり殺され
人魚も 海に帰らないと泡になってしまうという… きゃー
さあどうする この二人??
◇
このお話のラスト
一応ハッピーエンド なのでしょうね (…多分)
※そう思えるまでに、しばらく考えてしまいました…
二人があの生活を幸せとするのなら まあいいか
◇あれこれ
◆人魚の姿
歌声で船人を惑わすのって セイレーンでは?
と思って調べてみたら
セイレーンの姿は
「人間 + 鳥」 の他
「人間 + 魚」 の場合がある ふむふむ
とすると
このお話のヒロインは、
セイレーンの特性を持つ人魚なのかもしれません
※ちなみに
「人間 + 鳥 + 羽」 の姿もあるらしく
「シレーヌ (デビルマン)」 はそこからイメージされていると
初めて知りました へぇ
◆人魚は川にも出るの?
人魚姫のお話も、
舞台は多分 「海」 だと思うのですが…。
海水人魚と淡水人魚がいるのかなぁ
謎です。
(海からパリまでかなりの距離がありそうです
セーヌ川を俎上してきたのかな)
◆オープニングとエンディング
飛び出す絵本みたいで綺麗です。
帰宅後これを思い出し、
「ああ、これはファンタジーなお話だったのだなぁ」
と納得しました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
決して愛せない恋。切なくて不思議な物語。
【賛否両論チェック】
賛:愛を捨てたから出逢えた人魚との、決して相容れない恋路が、とても切なく描かれる。音楽美や色彩美も見事。
否:展開はありがちで、ラストもあっけない印象。歌のシーンも結構あるので、その辺の好き嫌いも分かれそう。
愛を捨てた主人公が、愛を捨てたからこそ出逢えた人魚と過ごしていくうちに、再び愛を感じていくほど、次第に弱っていってしまうという、何とも切ない設定が見事で、観ていて胸が痛くなってしまいます。
ただ、物語の展開そのものはかなり予定調和で、ラストはやや呆気ない感も否めません。また、歌うシーンも思いのほか結構入るので、その辺の好き嫌いも分かれそうなところです。
とはいうものの、“人魚”という不思議な存在との恋を描いた、音楽美や色彩美も兼ね備えた作品であることは間違いありません。大切な方と一緒に、是非ご覧になっていただきたい作品です。
バーバレッツをもっと見たかった
「おさかなになったわたし♪」などという山東ルシアのCMを覚えているだろうか?覚えている方はそうとうアレですよ・・・などと、ルラという名前からそこまで想像してしまうのはオッサンのみだと思います。“ル”しか合ってねーー!
最近はかなり変化球を使った人魚モノが多い中、これはストレートに近いがコメディ色あり、ホラー色あり、ファンタジー色あり、と観る者に委ねられてる気がする。それでも人魚の美声によって死んでしまうという話は元々の神話に近いし、見世物にするという人間の残酷性は根底にありながらも描かれていなかった。自分からバーに参加しちゃったりするし・・・
傷ついた人魚を抱えてタクシーを止めようとするガスパール。みんな乗車拒否しちゃうけど、まぁしょうがないですね。そんな中で登場したトゥクトゥク!パリでは人気らしいけど、料金はいくらくらいなのかなぁ・・・と考えると、ローラースケートと交換って割が合わないよね。ちなみにぼったくりも多いらしい。ちゃんとメーターつけろw
徐々に眠たくなってきたのですが、終盤のファンタジックな部分から再び目が覚めてきました。あっちこっちとシーンが飛んだりしましたけど、その中で気になったのがレコード録音。いいな~アナログって。てな感じでした。そして真珠の涙です!ガスパールのオタクっぽい部屋も惹かれたのですが、小道具がなんでも飛び出してきそうです。
まぁファンタジーということで
ファンタジーに割り切れば、わりと良い。。という感じのレビューもあったので、多少のことは気にせずに楽しもうと思ってました。
人魚役の女優さんは可愛いからまぁいっか、と思いつつ、
自分の部屋を燃やされた女の子を好きになることなんてあるのかな?という疑問。
隣人が勝手に部屋に入ることは了承している文化??なのかもしれませんが、安易に部屋の前のカーペットの下に鍵を置いておいて、誰でもどろぼうに入ってください、って感じの生活習慣にも驚きましたが、
そもそも火事の原因は勝手に家に入ってタバコ置き忘れた隣人のせいなのに、隣人に怒らないの?
病院に簡単に侵入出来るのか?簡単にストレッチャーとか用意してそんなに病院スタッフに見つからずに出られるものなのか?
結局人魚の彼女に恋したら、心臓とまる、破裂するのに、主人公は最終的に恋してなかったか??とか。。。疑問多し。
まぁ、そもそもの人魚が地上にいきなり打ち上げられてる時点で設定に無理があるんだから、楽しまなきゃ、ですかね。ということで、評価は真ん中あたりにしました。
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