劇場公開日 2021年2月26日

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「多様性を育てて拡げる」MISS ミス・フランスになりたい! あささんの映画レビュー(感想・評価)

5.0多様性を育てて拡げる

2021年4月5日
iPhoneアプリから投稿

本作はポスターとのイメージが良い意味で違いすぎる。
ポスターだけだと百貨店の化粧品売り場のブランドにあるようなポップでキュートでお洒落な感じだが、内容はもっと濃く、強く感情を揺さぶられるハートフルストーリー。

『流行りに囚われると本質を見失う』
ーーアマンダの言葉が刺さる。

女性になりたいアレックス演じるのはジェンダーレスモデルのアレクサンドル・べテール。本作の見どころはアレクサンドルが恐ろしく美しいこと。立居振る舞いも佇まいも、全てがパーフェクト。そして演技力も申し分ないほどに洗練されている。

自分は何者なのかー
それを知るためにコンテストに出場した主人公アレックス。
男でも女でもない自分は何者なのか。いや、私は私なのだ。

「女らしさ」を前面に出し競い合うミスコンやその業界を静かに否定しているところが堪らなく好き。

そもそも〇〇らしさって何?
男だから、女だから、男らしく女らしく、若者らしく、年寄りらしく、日本人らしく…

枠にはめようとすることがおかしい事で、今後はこのような思考、発言をする人々は社会が許さないし、ますます居場所を失い相手にされなくなるであろう。

他人が女性の価値を決める様な時代錯誤なミスコンは今後、淘汰されていくはず。

時代が刻々とボーダーレスな社会へと変わってきている(日本はジェンダーの問題に関しては超後進国だけど)。

また、本作の評価すべき一つが多様な人種が出演している事。フランスは元々黒人も多いが)
本作を多くの人が観て多様性への理解が深まることを願う。

男性のイメージが強いボクシング×女の価値を競い合うミスコン
ラストの演出には唸る。これらがうまく融合していたね。

マキ