「映画作品としての完成度は、決して高くはない。」めぐみへの誓い 川柳児さんの映画レビュー(感想・評価)
映画作品としての完成度は、決して高くはない。
批判を受ける覚悟で「1.5」を付けたが、タイトルにある通り決して高評価は出来ない。
事前に他のレビューを確認し、「5や4」が多かったので、相当クオリティーの高い作品だと思っていた。
そして映画の途中できっと嗚咽を抑え、映画終わりには号泣しているはずだと...。
しかし、結果は真逆。
エンドロールが始まると、「えぇ?」と言うつぶやき。頭の中は「???」でいっぱいとなった。(エンドロールの終了を待たずに、席を立った人が居た。おそらくあの人も、自分と同じ想いだったのだろう)
とにかく内容や構成が雑。
1.時々記載される「〇〇年」という説明があれば理解できるのだが、その記載がない時は、出演者の老化加減でいつの時代の話を見せられているのかを判断せねばならず、不親切だと感じた。
2.めぐみさんの話のはずなのに、いつの間にか田口八重子さんの話が長尺で割って入って来る。それで話が広がったり、めぐみさんへの手がかりになるのかと思えば、説明書きが数行挿入されて、彼女の話は終わり。
は?
3.田口さんの話はあんなに長い尺を取ってたのに、片や、北朝鮮から拉致被害者5人が戻って来た事には全く触れられていない。あの事実は、めぐみさんだけでなく、拉致問題の根幹に大きく関わっているはずなのに、完全にオミットされている。
4.奇しくも映画としては遺作となった小松政夫さんのシーン。あれ、必要ですか? 「北朝鮮の卑劣さを知らしめるため」なのだとしたら、なおさら、上記5人の帰国はフィーチャーされるべきで、事実と推測のバランスが取れていない。
また、同じ会社で何人も行方不明者が発生していたら、おかしい、と疑われないのか? その辺の説明も全くなされていない。
5.めぐみさんが観た、あの夢のシーンは何が言いたかったのか? 全く理解できない。一方、 その直後、早紀江さんも夢を見る。一度使った手法を、その後繰り返し使うとは、陳腐と言うか稚拙と言うか。なんか納得できない。
めぐみさんが拉致されるシーンと、彼女が北朝鮮で受けた辛苦は、想像ではあろうがリアリティがあり、その部分は評価できた。
しかし、鑑賞直後の全体的な感想としては、「残念」としか言いようがなかった。
数時間後、こういう考えが浮かぶ。
おそらく自分が拉致問題に対する知識がある故に、この作品への期待度が大きすぎたのではないかと....。
故に、それが裏切られた以上、評価を低く付けるしかない。(私は、早紀江さんが現在通う教会のある町に住んでいる。その事も、この作品への期待度が高かった理由である)
片や、他のレビューで「5や4」の評価が多いということは、拉致問題を知らしめるという点で、この作品の役割は果たされている、と言っていいだろう。
映画作品としては評価はできないが、この映画を観て一人でも多くの人が拉致問題を真剣に考えてほしい、そして早くこの問題が完全解決に向かってほしいと願わずにはいられない。
私も拉致問題を有る程度知っている立場で、期待して観に行きました。
グッ・・・と涙を堪えるシーンはあったものの、「それほどでもなかった」
と言うのが本音です。
意味不明なのが、夢の中の火事~虐殺シーンと、
印刷工場の青年が、ベッドの上で、注射された後、激しい痙攣を起こす場面。
薬殺するわけでもないのに・・・
あと、めぐみさんが工作船の船倉で爪を剥がす場面…演出が下手過ぎます。
監督の力量の無さが感じ取れました。