「ノラはよく頑張った」私は確信する カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ノラはよく頑張った
ヒッチコックの映画好きの犯罪学が専門の教授の奥さんが失踪した事件にまつわる法廷映画。証拠も遺体も供述もないのに逮捕された教授の一審の陪審員を経験したノラ。レストランのシェフをしながら小さい男の子を育てるシングルマザー。教授の長女が自分の息子の家庭教師をしてくれていた縁から、二審では弁護士のサポートを買って出る。250時間におよぶ参考人の供述音声データを要約してくれと弁護士に頼まれる。寝る間を削って、自宅でテープおこしをしてはタイピングした原稿を弁護士に渡す。疲れて、仕事に遅刻したり、留守中、子供が自宅のキッチンで火事を起こしてしまったり、証拠の音源と原稿を届ける途中であわてて、車に轢かれたりしながらも、彼女自身が矛盾点をあぶり出して、弁護士と二人三脚で無罪を勝ち取る。しかしながら、教授の奥さんはデュランデという出鱈目男と不倫関係にあり、デュランデが教授に罪をかぶせて、陥れるために家政婦を巻き込んで、バッグを家に戻すなど画策した事件で、警察も安易に同調し、夫を容疑者として逮捕、殺人罪で起訴してしまおうとしたものだった。参考人が多いのはデュランデが奥さんのバッグの中のアドレス帳を使って捜査が教授に及ぶようにデマを流したからと思われる。弁護士役のオリビエ・グルメの好演が光る良作。フランスでの失踪事件は非常に多く、その大部分が未解決。警察の捜査の失態が冤罪を招く母地になり、証拠に乏しい事件で陪審員制度の危うさをノラを通して疑似体験できた。デュランデが痴情に駈られて殺害したあと、死体の処理をしたのは夫である教授本人かもしれないところがミステリアス。
カールⅢ世さん
コメントへの返信有難うございます。
メモを取りながら観ない限り、とても書けそうにありません😅
陪審員の責任、重いですね。。裁判員裁判の裁判員に選ばれない事を祈るばかりです。