劇場公開日 2021年2月12日

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「一人の名もなき女性の意志、行動力、瞳の力強さに引き込まれる」私は確信する 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一人の名もなき女性の意志、行動力、瞳の力強さに引き込まれる

2021年2月28日
PCから投稿

外見からの印象だとかなりお堅い法廷劇のように思える。この種の映画はいざ好みと合致しないと退屈な台詞劇となりかねない。だが結論から言って、私は本作にグイグイ引き込まれた。冒頭、誰かがこの事件を二つのヒッチコック作品に例える。ひとつ目の『バルカン超特急』が示すのは完全密室犯罪という可能性であり、もう一方の『間違えられた男』が示唆するのは、タイトル通りの”冤罪”の可能性。そして被告がいざ後者の道を歩もうとする時、意を決して立ち上がるのが、一人の名もなき女性だ。膨大な通話記録を選り分け、分析し、文字に起こすことで、彼女の中で高まっていく確信は弁護側の原動力となっていく。面白いのは事件以上にこの女性の「黙って傍観などしていられなかった」という姿勢に焦点をあてていること。そうした強靭な意志、瞳の力強さに感化されるように、観る側も自ずと身体が熱くなっていくのを覚えるはず。硬派な興奮が味わえる秀作である。

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牛津厚信