「肝心な部分についていけなくなる僕がいました。」私は確信する バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
肝心な部分についていけなくなる僕がいました。
ストーリー、演出とは関係ない部分でお話に置いていかれてしまいました。
通話記録の書き起こしがポイントなんですが、字幕を追っているだけでは
誰が話しているのか?誰が誰だっけ?がこんがらがってしまって、途中ポッカーンに
なってしまいました。フランスの名前は聞き慣れませんしね。
さて!
実際にあった裁判事案をもとにした作品です。
サスペンス仕立てで展開していくので、なかなか面白いです。
ノラの(まさに)粉骨砕身の尽力で、真犯人判明に近づいていき、どんでん返し爽快法廷劇・・・?かと思いきや・・・・違いました。
違うのは良いのです。いいんです。だって、犯人探しじゃなくって、無罪であることを勝ち取ることが最大目的なんですから。「推定無罪の原則」に立ち戻り「無罪」を勝ち取ることが大事だったのですから。で、熱い熱い最終弁論。
ここは演者さん見事で、感動すら覚える場面ですが、僕は冷めていくのです。なぜか。
だって・・・・その弁論内容はこれまでの裁判記録、証言記録の追求でできるんじゃない?って思ってしまったからです。ノラの頑張りの反映になっていないと思っちゃったんです。僕は。
僕の理解が浅いのかもしれません。このように推定の話ばかりだったんだね、ってレベルにまで裁判を持ってこられたのは、音声記録の書き起こしとそこからの究明だったとしたなら、これは見事なんですが・・・そうは思えなかったんですよね。
また、真犯人を見つけることが目的ではなく、無罪とすることが目的であるという弁護士と、なぜか真犯人探しに躍起になるノラ。ノラの行動の源泉がなんなのか?仕事も子供もおざなりにしてしまう熱情はなぜ生まれるか?の描写と説得力が少ないので、いまいち感情が乗っていかないのです。
また、ノラの存在自体・・・「えーーー」な感じのエンドロール前。だったらもっと味付けして欲しかったな。
ま、事実を元にしているからあまりに偏向的な脚色はできなかったのかな?
であっ他そしても残念。この消化不良さが残念。
背景や感情の描き方が少なかったのは、子供たちや親戚の方々の描写が少ないです。
最後まで子供たちが何を考えているのか?わかりませんでした。
母がいなくなり、そして残った親が有罪になろうとしている。
どーいう心境なんだろうか?最後の判決を聞いた時、子供たちや親戚はどう思ったのだろうか?
薄かったなぁ、描き方。
いやー、しかしフランスの警察、司法の緩さといったら・・・ひどいなぁと。
日本の法廷の場を見たことはありませんから比べられませんが、少なくとも推定で判断しちゃうとか、判事との取引のようなものはないと思います。あー、陪審員制度があるから一概に比べられないのかな?
行方不明の人数にも驚くけど、司法の適当さは、一体なんなんだろ?こっちの方も驚きます。
内容はちょっとイマイチでしたが、このような現状(司法と行方不明者)を知ることができてよかったかな?