KCIA 南山の部長たちのレビュー・感想・評価
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国家トップ3があんな感情的なのね
実話が元のサスペンス。私は事前には勉強しないで行ったので、展開に興奮しました。これが約40年前の韓国なんですね。
ちなみに、あくまでサスペンスです。結論が暗殺という初めにあってそこまでの経緯をおっていくので、予備知識なしでも楽しめると思います。
強いていえば、同じような名前だらけで、日本人には混乱します。
予備知識があった方が良いという意味では、朴大統領のWikipediaくらいは読んで行った方が良いかと。そうすると、キャラクターに深みが出て、悪人なのか偉人なのか、その両面がわかると思います。
池上さんの番組みても思いましたが、当時は北朝鮮の方が経済的に豊かで、朴大統領の時に、日米の援助で経済発展させたくらいの偉人のはずなのですが、やっぱり軍事政権ってのが問題あるのかな。
通して、国のTOP3がここまで感情で物事を決めていた事に驚き。あんな感情に流されて、冷静に判断出来ない人がリーダーだと、戦争もおきますね。
今も変わらないかもしれませんが。
また、韓国人の「恨」の大きなこと。歴代の大統領のその後の有罪率は考えられない。
さらに言うと、朴大統領の娘がまた大統領になってるのも驚き。
結論、韓国人って本当に一時の感情で物事を判断するのだと、思い知らされました。
映画としては、とても面白い。緊張感や、心が動くシーンは惹き込まれます。ヒリヒリする空気感はとても良い。
韓国で、2020年1位も納得。
あの丸顔の禿頭に見覚えが
下手なフィクション物なんかより遥かに見応えがあった。なぜ朴正煕大統領の腹心中の腹心が大統領を暗殺するに至ったか。イ・ビョンホンの演技が観客に答えを提示してくれる。それぞれの家族が登場しないので、感情の視点がぶれることなく緊張感を保ったまま終幕する。
KCIAのキム部長は、軍事クーデター(キム部長は革命と呼んでいる)当時、クーデターのリーダーであった朴正煕と生死を共にしていたこともあって、朴大統領からの信頼も篤く、キム部長自身も大統領を尊敬し、汚れ役を信念を持って全うしていた。
KCIAの前部長のアメリカ議会の公聴会での証言を阻止できなかったことから、キム部長に対する大統領の信頼が揺らぐ。そこにイエスマンかつ太鼓持ちである警備室長が大統領に擦り寄って行き、権力を持つようになる。ここからが、イ・ビョンホンの表現力の凄さで、苦悩と葛藤がこちらにひしひしと伝わってくる。感情を押し殺そうとしても体が震えてしまう。
ここからは、史実だけどネタバレになるかも
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朴大統領は、強権的であるが間違いなく韓国を経済的に発展させ、アメリカの言いなりにはならない小強国に導いた。その大統領を影で支えてきたキム部長が、大統領から遠ざけられ、権力を徐々に剥がされていく。そして、大統領の不正蓄財を担当している謎の腹心の存在がキム部長を疑心暗鬼にさせる。
暗殺実行後の行動は、本能寺の変の明智光秀を思いこさせる。軍部やアメリカへの事前の根回しをほとんどしておらず、決行後の行き先も逡巡して即答できない。結局は、アメリカの捨て駒にされてしまった。
あの丸顔の禿頭、どこかで見た覚えがあると思ったら、エンドロールで腑に落ちた。
正義にも見える独裁と恐怖の政治、その始まり。
【政治は密室で行われるべきではないと思うこと】
この作品は朴正煕大統領暗殺事件を扱ったものだが、一連の事件で明らかになっていないところがあるため、フィクションということになっていて、登場人物の名前も伏せられたり、実際の名前とは異なっている。
最近、職権乱用などの罪で20年の実刑が確定した朴槿恵前韓国大統領は、朴正熙の娘だ。
朴正熙は、朝鮮戦争休戦後の混乱が続く韓国で、軍部の腐敗や国内復興の遅れに業を煮やし、1961年に軍事クーデターを決行、1963年から暗殺される1979年まで大統領を務め、独裁体制を推し進めた。
朴正熙は、アメリカと日本の経済支援を得て「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成し、韓国を最貧国から脱せさせる一方、日本に滞在中の民主派リーダー金大中をKCIAに拉致させるなど、日本の国家主権を侵害する強硬な面を隠さなかった。
映画で、パク部長をフランスで拉致、証拠を残さず消したのは大統領ではなくキム部長の仕業ということになっているが、これも国家主権の侵害だ。
パク部長のアメリカ議会での内部告発証言をめぐり、アメリカと対立する場面も描かれるが、アメリカの経済発展への多大な貢献や、対北朝鮮共同防衛で強い態度に出ることが出来ないというジレンマはあった。
しかし、韓国軍のベトナム戦争参戦で、アメリカに恩を売るなど両国の関係を、対共産主義という点でより密接なものにするという戦略家の面もあった。
パク部長の裏切りに加えて、金大中と並ぶ民主派のリーダー金泳三の台頭が、朴正煕のイライラを募らせていく。
その運動の中心となった釜馬民主抗争を戦車で封じ込めようと提案するクァク室長に対し、空挺部隊も用いてはどうかと提案するのが、朴正煕の後、クーデターで大統領になる全斗煥だ。
最後、金庫から金の延棒を持ち出す場面があるが、この作品の全斗煥は、レーザーラモンRGに似てる気がした。
話は前後するが、この頃、なぜ韓国で民主化運動が盛んになったかというと、事件前年の増税と、それに追い討ちをかけるように発生した第二次オイルショックで人々の暮らしが立ち行かなくなったことがあった。
それを朴正煕が金泳三の政治的な野心と誇大妄想的に考えてしまったのに対し、キム部長は、民衆を力で押さえつけるだけでは不満や将来の暴動の種を摘むことは出来ないと考えるようになっていく。
この映画に描かれるように、朴正煕がクァク室長を過度に庇護したことや、キム部長によるパク部長殺害の完全犯罪を朴正煕が正当に評価しなかったことは、キム部長による朴正煕暗殺の重要なファクターであることは間違いないのだが、今では、キム部長が、韓国の民衆が疲弊していく様を見て見ぬふり出来なかったというのも大きな理由のひとつだろうとされている。
そして、朴正煕大統領暗殺事件でも韓国に大きな変化はなかった。
映画では、事件後、キム部長が南山ではなく、軍本部に向かったことが、もしかしたら、ミスチョイスではなかったのかと思わせるように描かれている。
しかし、20年近く蓄積された軍事独裁政権の牙城は固かったのだ。
革命によって誕生した政権が独裁色を強め腐敗していくのは、なにも韓国に限ったことではない。
過去に遡れば、フランス革命のロベスピエールは多くの粛清を実行し、テロリズムの語源になったテルール(恐怖政治)を行ったことで知られるし、ピューリタン革命の後、実権を握った護国卿クロムウェルも凄惨な措置を実施した人物だ。
近代では、革命を引き継いだという意味で、ソ連のスターリンは千万単位の人を粛清したと言われているし、中国の毛沢東や、北朝鮮の金日成も例外ではない。
アムネスティや欧米各国が指摘しているように、新疆のウイグル族へのジェノサイドを行なっているのであれば、習近平も同様だろう。
政敵となり得る兄弟や、批判をする側近を次々に粛清するのは金正恩だ。
日本でも外国を過度に危険視して軍拡を良しとする風潮はある。
よもや自衛隊がクーデターを起こすとは思わないが、長期政権でウソを厭わなくなった安倍などを見ていると、人々が政治を監視するということが、どれほど大切なのか改めて考えたくなる。
この映画を観て、認識するのは、政治は、密室で行われるべきものではないということだ。
密室で行われていると考える人が一定程度いるからこそ、Qアノンやディープステートといった陰謀論も出てくるのだ。
政治は人々のためのものだ。
現政権が理解しているか甚だ疑問だが、基本に立ち返って、国民がそれぞれで考えるべきだと強く思う。
この作品、展開はおおよそ知っていても、イライラも、ハラハラもするし、面白いのだが、こんな血で血を洗うようなサスペンスタッチの政治は日本にはいらないと思った。
ちなみに、キム部長とパク部長は、現実では友人ではないらしい。
あと、朴正煕とキム部長は戦前戦中の日本語教育で、日本語が話せて、新渡戸稲造の武士道が好きだったらしい。
※ 大統領職についた人物は実名を使いましたが、その他は、映画のフィクションの名前を使ってレビューを書きました。
朴正煕大統領殺害を参考にしたフィクション
1979年10月26日に韓国で起きた朴正煕大統領射殺事件を参考にしたフィクションとの事。
過去の資料を見ても実際の殺害現場も似たような場所だし日付も合わせている。
どこがフィクションなのかわからないが、まだ子供達も生存してるから不明点などを描いてる所があったり名誉毀損を回避するためにフィクションと言ってるような気もする、ドキュメンタリーのような作品。
軍事革命で政権を掌握すると独裁政権になりやすいのは世の常だな、って思った。
大統領が2人の実力者に「おまえのそばに私がいる。思うようにやれ」と同じ事を言って競わせ忠誠心を煽るやり方はどの世界でもありそう。
バックにアメリカが居たと言うのも事実っぽい。
韓国の政治からみ、軍事絡み、の作品は北の脅威も続いてる現状からリアリティが有って面白いのが多いと思う。
実話だけれども…。
自国の暗闇にメスを入れる韓国映画人の英明さ
映画『KCIA南山の部長たち』を観る。
1979年に韓国で起きた朴大統領暗殺事件は当時、日本でも側近による射殺という表面しか伝わらない謎多き事件だった。
それから30年を経て、長女のパク・クネが大統領になった時でさえ、朝日の天声人語は凶弾に倒れた家族の不屈の物語として伝えた。
しかし、その英雄譚は数年で地に落ち、新たな苦難の歴史が始まっている。
そう、、隣国では死闘の末、権力を勝ち得、そして、そして最後は敗北して行く。
日本のように仮病で楽隠居出来る訳は無く、検察、メディア そして市民が声を上げて、権力から引き釣り下ろす。
それは20年にいっぺんフランス革命をしているようなものだ。
牢獄に収監される、嘗て指導者を見ると、そこまでしなくても、、という気持ちになるが、主権者は国民なのだと気付かされる。
しかし、この41年前の暗殺事件だけは、個人の営為
その自国の闇を丹念に掘り起こし、外国人にも見れるようなエンターテインメントに仕上げて、それが2020年度 最も多くの観客を得たという事実に韓国映画界の深さと観客の聡明さを感じざるを得ない。
劇中 朴正煕 と部下(暗殺者)キム・ギュピョンが大日本帝国陸軍 時代に仲間だった時を思い出して 「あの頃は良かったな」と述懐するシーンがある。
この映画で、そのシーンにはハングルの字幕が出る。
何故なら 彼らは 日本語で それを語り合うから。
ここに 韓国の混乱のルーツに日本が深く関わっていた事に気付かされた。
青瓦台に「麒麟」は来たのか
79年当時の東西冷戦状況下の朝鮮半島情勢や長期軍事政権下の市民感情など韓国の人にとっては当たり前の前提条件が求められるものの、その理解はなくても政治サスペンスとして相応に楽しめるはず。
物語が展開するなか、金 載圭氏の追い詰められた末の行動がかの「明智光秀」に重なって仕方がなかった。ライバルたちの闘争の末に権力が転がり込んできた全 斗煥はさしずめ「豊臣秀吉」といったところか。
当たり前のことだが、本作は史実をベースにしたフィクション映画である。
当時KCIA部長であった金 載圭氏が朴 正煕元韓国大統領を暗殺したという事件だけが真実であり、金 載圭氏の動機含めた因果と犯行のプロセスはあくまで想像の域に過ぎない。
韓国内でもの金 載圭氏の評価は分かれているようだが、少なくとも本作制作サイドは朴の長期独裁政権時代の打破に一石を投じた彼の行動をいくぶん好意的に評価して描いている。
冷戦下、東側のみならず西側が支援する東南アジアやアフリカ諸国政府の軍事独裁体制を米国政府および情報当局が直接間接問わず積極的支援してきた史実と、世界は今そのツケを払わされている事実を忘れてはいけない。
社会派の作品は群を抜いて優れた作品を世に送り出す韓国映画界は、政治モノになると途端にその矛先が鈍ってくるのは気のせいか。まあ、社会モノも政治モノも韓国に大きく後塵を拝する日本映画界よりはマシであろうが。
史実を捻じ曲げた低レベルの商売映画
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