劇場公開日 2021年1月22日

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「あの丸顔の禿頭に見覚えが」KCIA 南山の部長たち bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5あの丸顔の禿頭に見覚えが

2021年1月23日
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鑑賞方法:映画館

 下手なフィクション物なんかより遥かに見応えがあった。なぜ朴正煕大統領の腹心中の腹心が大統領を暗殺するに至ったか。イ・ビョンホンの演技が観客に答えを提示してくれる。それぞれの家族が登場しないので、感情の視点がぶれることなく緊張感を保ったまま終幕する。

 KCIAのキム部長は、軍事クーデター(キム部長は革命と呼んでいる)当時、クーデターのリーダーであった朴正煕と生死を共にしていたこともあって、朴大統領からの信頼も篤く、キム部長自身も大統領を尊敬し、汚れ役を信念を持って全うしていた。

 KCIAの前部長のアメリカ議会の公聴会での証言を阻止できなかったことから、キム部長に対する大統領の信頼が揺らぐ。そこにイエスマンかつ太鼓持ちである警備室長が大統領に擦り寄って行き、権力を持つようになる。ここからが、イ・ビョンホンの表現力の凄さで、苦悩と葛藤がこちらにひしひしと伝わってくる。感情を押し殺そうとしても体が震えてしまう。

ここからは、史実だけどネタバレになるかも









 朴大統領は、強権的であるが間違いなく韓国を経済的に発展させ、アメリカの言いなりにはならない小強国に導いた。その大統領を影で支えてきたキム部長が、大統領から遠ざけられ、権力を徐々に剥がされていく。そして、大統領の不正蓄財を担当している謎の腹心の存在がキム部長を疑心暗鬼にさせる。

 暗殺実行後の行動は、本能寺の変の明智光秀を思いこさせる。軍部やアメリカへの事前の根回しをほとんどしておらず、決行後の行き先も逡巡して即答できない。結局は、アメリカの捨て駒にされてしまった。

 あの丸顔の禿頭、どこかで見た覚えがあると思ったら、エンドロールで腑に落ちた。

bion
かいりさんのコメント
2021年2月6日

シネマート新宿、今何を上映してるんだろうと見てみたら、、、何やら鬼畜な(褒め言葉)特集してますね。
駅から出て、エレベーターのタイミングが良ければ1分で劇場に着けるアクセスの良さも好みです😊😊

かいり
かいりさんのコメント
2021年2月6日

bionさんへ
お久しぶりです。
『新感染半島』見たいです!1作目の『新感染』を見たときは、韓国ゾンビ映画のクオリティにおののきました。シネマート新宿で本作をご覧になられましたか?あの映画館、好きです。コアな韓国映画を上映してくれてるし。

かいり
bloodtrailさんのコメント
2021年1月24日

bionさんへ
コメントありがとうございました!
金部長と閣下が「同じ釜の飯を食った同士だった」と言うのが、この映画の見どころだと思うんですが、そこがフィクションなんですよね。確かにやり過ぎだし、逮捕後の肉声に至っては、やり過ぎの上塗りですw

bloodtrail
atsushiさんのコメント
2021年1月23日

「死人に口なし」ではないですが、執行を急ぐより裁判でもしっかり動機を検証すべきだったと思います。戦国時代ならやむを得ないかもしれませんがw

atsushi