「デブゴンであることの必然性が感じられなかった」燃えよデブゴン TOKYO MISSION とみしゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
デブゴンであることの必然性が感じられなかった
ドニー・イェンのアクションはさすがだと思った。
大掛かりなセットやロケは見応えもあった。
ラストの東京タワーも、セットやCGを使ったみたい。
いや、ほんとに凄い。
けれど、肝心の「ドニー・イェンがデブゴンになった」ことが、物語の推進力にはなっておらず、笑いにもあまり貢献していないように思えた。
ボディ シェイミングにつながる可能性が高いためなのか、「太っていること」そのものを嘲笑するような展開にはなっていない。
それはそれでいいのだけれど、じゃあなんで特殊メイクを使ってまで、ドニー・イェンを太らせたのか?
初代デブゴンのサモ・ハン・キンポーは、リアルにあのような体型であり、それなのに動きが見事だったから、そのギャップから生まれる笑いや感動があった。
でも、ドニー・イェンのあの体型は作り物であることは明確だ。
さらに言うと、僕の目からはあまり太っているようには見えなかった。
それゆえ、太っているのに動きが機敏というギャップも感じられなかった。
別れた恋人との関係についても、太っていることがコンプレックスとしては働いておらず、彼の無謀な性格(ヒーロー的な活躍はするものの、結果的に周囲を混乱させてしまう)に重点が置かれているように見えた。
東京で出会う相棒も、伝説の刑事という設定はさして意味があるように思えなかった。
あと、その相棒が惹かれる女性の息子も、カンフーがちょっと使えそうな設定だったのに、後半はまったくもって見せ場がない。
密輸の現場映像が入っているスマホにしても、あれを取り合う形でのドタバタやチームプレイを見せてもらえたら、もっと楽しかったのになぁとも思う。
良くも悪くも、ドニー・イェンのための映画なのかな。
アクションはさすがだけれども、周囲の人物や笑いの要素にもうちょっと工夫があればという不満が残った。