7リミット・キルズのレビュー・感想・評価
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東欧ノワール調仕置き人
共産主義から資本主義への転換期の東欧ポーランドでの社会の混迷ぶりを治安警察の主人公フランツ・マウラーを通して描いたノワール調の犯罪映画PSY(犬)シリーズ、Psy1(1992)、Psy2:Ostatnia krew(最後の血)(1994)から26年経って撮られた3部作の最終章、Psy3:W imie zasad(ルールの名の下に)、登場人物に年寄が多いのはそのせいか・・。
前2作を観ていないので主人公が刑務所に入った経緯やGRU(ロシア情報総局)との因果関係はよくわからないが、GRUの若手から父親殺しの報復を告げられムショで毒を盛られ余命は7日、加えて主人公には家族がいないので代わりに親友モラヴィエツの家族をいたぶると脅しを掛けられる。
これはいかんと思った主人公は親友を探しあてるが彼の息子が行方不明、警察に連行されたがすぐに釈放したと拉致が明かない。マウラーとモラヴィエツは独自調査を開始する。
どうやら息子は警察に殺されたらしい、これは2016年に実際にあったStachowiak事件、警察が誤認逮捕の若者をスタンガンで拷問し殺してしまった事件の引用らしい。
てっきりGRUの予告どおりの報復かと思いきや警官の度を越した捜査と隠ぺい工作では肩すかし、後はマウラーとモラヴィエツ、昔の仲間や息子の友人らの警官への報復がネチネチと続きます。
警察は汚職まみれとか言いますが敵役ならもっと憎々しく描かないと叩きにくいでしょう、元治安警察との殺し合いは醒めた目で観れば内輪もめ、肝心のGRUも終盤にでて来たものの呆気なくマウラーに返り討ちにされ、いったい彼らは何だったのか解せません。
腐敗権力との対峙などと何となく社会風刺を臭わせてダークに描きますがストーリーとしては凡庸でした、「老いた獣にも牙はある」と予告で言っていましたが爺さんばかりでは気が滅入る。そこで唯一の正義漢というヴィトコフスキ刑事を出してロマンスを絡めたサイドストーリーでとりなしていました。
一作目のPsyではファックというセリフが360回も使われたらしい、卑猥な暴力映画としてテレビでは放映禁止にもなったとか、本作でも娼婦が登場、必然性の無い濡れ場もありましたがパシコフスキ監督の作風なのでしょう。
ポーランド産ハードボイルド…
惜しい。。元諜報員の初老とかつての仲間たちが仲間の息子を殺した汚職警官たちに復讐を果たすまで。唯一汚職をしていない信頼できる刑事も加わり、息子の死の真相を明らかにしていく…が結局刑事は裁判で正義を果たすべく最後まで動くが一番の汚職警官を署長が庇うなど煮えきらず、彼らのもとに警官を突入させるなど、全く共感できない。おまけに知り合ったガソリンスタンドの女性に危険を近寄らせないとか言って呼んでおいて、すぐに帰すあたり、自己中で煮えきらない。また、サイドストーリーとして、元諜報員が過去に殺した旧ソ連の諜報機関から命を狙われるなど、メインストーリーと絡み合うかと思いきや、全く絡み合わないなど、広げ過ぎの感あり。冒頭から会話に出てくるウルフやナディアなど登場人物の多さにも面食らい、一体過去にどういう経緯があったのかなど説明不足。銃撃戦は迫力あったし、ドミニカ・ワロの美しさは光った。
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