教科書のない、というキャッチ―な部分、そして私立小の取り組みという事で、
なにか「特殊」な学校の紹介に終始しているという見方もできるかもしれませんが、
それはこの映画の本質的な部分を見落としていると思います。
この映画は、特別なにか立派なもの、特殊なものがなくても、
子どもと先生たちが愚直に教育・授業に向き合っている姿を見て、
今の学校に失われつつあるものが、そこにあるのではないかと感じる、
その部分が大事なのではないかと思います。
後半の沖縄で直接戦争体験者の話を聞くという子どもたちにはショッキングな体験は
たしかになかなか公立学校でできない取り組みなのかもしれません。
ただ、そこに至るまでの、1年生が教室でみんなに囲まれながら、
自分の見せたいものをみんなに見せたり、それをみんなで聞き合ったり、
3年生?が授業の中で、国語のお話について、実にフランクに感じたことを語り合ったり、
そういう日常の風景の中に、子どもたちが自由に表現していける
この学校の風土のようなものがある。
そうした「空気」のようなものが、映像の端はしに感じられます。
なんとなく今の学校って、冷たい感じがする。
グループワークとか昔よりもたくさんやるのだろうけども、
どこか空気の読み合いで、自分の本当の気持ちを出せていない。
先生たちもそれを受け止める余裕がない。
もちろんこの学校にだって課題はあるのでしょう。
でもここの先生たちが会議?の中で、あれこれ発言している姿は、
当たり前のように見えて実は当り前じゃない。
世の中の空気を読まずに自分の考えを語っている。
これが子どもたちにも伝わっているのかなと思いました。
学校を映すっていう映画は国内外問わず何本か見たことがありますが
カメラが入った日に何が起きるのか予想できないでしょうから、出たとこ勝負なのでしょうね。
きっとここの映っていない毎日の中にも、良いことも悪いこともたくさんの経験があって、
子どもたちは育っていくのだろうなぁ。
なんとも「あたたかい空気」のある映像でした。