「糖質制限なんてクソだ。」川っぺりムコリッタ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
糖質制限なんてクソだ。
北陸の片田舎に越してきた青年が少し変わった隣人や年中喪服を着て墓の営業にまわる親子や夫を亡くした大家さんらとの交流によって徐々に復活していく話。
女性達が色んな食材を使ってオシャレに健康的な食を楽しんでいるのが印象的だった『かもめ食堂』とは反対に、今作はほとんど米と夏野菜と味噌汁と塩辛だけ。栄養はほぼ糖質だけだし、塩辛を大量にかけてるから絶対塩分取りすぎ(クーラーない部屋で汗かきまくってるからこれぐらいとっても問題ないんだろうけど)だけど、日本人って米さえあればどうにかなるんだなと思わせてくれる。
毎回毎回ご飯を口にする度に身に染みてる松山ケンイチの顔が最高。『孤独のグルメ』みたいに勝手に心の声をつけてしまいたくなる。それ以上に何が良いってこれが羨ましく見えても帰ったらすぐに真似できることよ。糖質制限なんてクソだな。
萩上監督の作品って素朴な人々の生活を描いているようでコミュニティは全く現実的でないある種の楽園であることが多いと思っていて、今回も日本の隅に取り残された田舎であるにも関わらずめちゃくちゃ理想の楽園。皆が皆の面倒を見合ってご飯を分け合う。最底辺の生活に思える場所がすごく幸せそうに見える。
とても多くない収入だろうに隣人とごはんを分け合うたけしを見ていると私達って1人生きていくのには十分なお金は貰っているのに贅沢に贅沢を重ねてるから人に与えるお金が無いんだと恥ずかしく思った。まぁ現実問題都会に生きているともっと沢山の出費が必要な面もあるけど。
とはいえ1番楽園感を醸し出してるのは全軒クーラーがなさそうなこと。今の日本でいくら北陸の方の田舎とはいえ、真夏にクーラーなしで耐えられる場所は幻想じゃないかと思うね。。あれぐらい塩辛食べないと脱水になっちゃう(笑)あと、1度口に着けた箸で塩辛を取ってそれを真夏の常温で放置して1度もお腹壊さないのもファンタジーだと思う!!(笑)