ポゼッサーのレビュー・感想・評価
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お腹が空いて死にそう
世界観や背景がレトロフューチャーなのはとても好きなのよ。
タシャは他人の体を乗っ取り殺害し、帰還するには自害するしかないとんだブラック企業勤め。
自我がしっかり戻ってるかの確認で私物を確認されるけど、その時の上司の少しの反応がひょっとしてタシャが少しずつ変わっているのでは?と感じた。
銃を持っているのにナイフを使ったのはなぜ?の問いに手に合うから…ってそれは誰の手?
自我を乗っ取り殺人を。
数日間の乗っ取りだけど、記憶は残る。
それは少しずつ、油絵の具をのせるように少しずつ何かが上書きされるのでは。
その証拠のように、別れた夫と子供に会いに行く時に角を曲がった突き当たり、家を眺めながら「お腹がすいて死にそうよ」と「自分の」口調を取り戻す様に呟く。
次の仕事は資産家の父とその娘の彼氏になり2人を殺害する。タシャは男を望遠鏡で眺めながら口調を練習する…
いやいやいや、ザルでしょ
そんな身近すぎる男に憑依するんだからもう少し観察しよう?
口調だって仕草だって行動だって毎日変わるし機嫌によっても変わってくる。
それをいきなりターゲットの彼氏に変わるなんて、彼女も違和感感じるよ…
なんだかんだで娘は死亡、父親は重症
やはり自殺できないタシャ。男はゆっくりと自我を戻し歪んだタシャの顔をかぶる。
男とタシャはタシャの中でせめぎ合い歪み合う。
男の姿でタシャの家の前へ
「お腹が空いて死にそうよ」呟く。
この辺からは誰がどんなでどうしたとかもうよくわからなくなってくる。
夫を打ち子供に刺され、思わず子供を打つ。
血溜まりの中、子供の「離脱」の言葉で初めて身近な人が乗っ取られて自分を殺すというエグさに改めて気がついた。
ラスト、再びタシャは自我確認へ。
タシャとは誰なのだろう?
映される性行為
女で、男で、
タシャはどっち?
画像に映される他人の性行為、タシャはどちらの目で見るのか。
世界観やその組織や人間関係などの背景を詳しくする説明もないし想像で補う部分…というか私が読み取ったり考察したりできないのでとても難しかった。
映像はとても綺麗でオシャレでした
でも口に合いませんでした。
ごめんなさい
鑑賞中「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を観ていた時に感じた、いや〜な気分になったのでチラッと観たけど息子さんなのね…
無感覚の外道
この作品がえげつないのは、人格を乗っ取られた人間が死ぬことでしか中の暗殺者が離脱できないことだ。
つまり憑依される人間は暗殺のターゲットというわけでなく、ただ犯人に仕立て上げられる無関係の人ということになる。
そして、そのことに全く罪悪感など感じていない組織の人々。自分たちは正義を遂行しているかのような清々しさでいることが不気味だ。
暗殺を請け負う組織はハッキリ言って悪だ。多くの映画などの悪は自分たちが悪事を働いている自覚がある、もしくは正義のための悪事、いわゆる確信犯であることが多い。
しかし本作の組織の人間には、自分たちが悪事を働いている感覚すらない。信念もない。ただ自分の利益のみを追求する外道。こうなるとどこまででも落ちていく。自分たちを止めるものを何も持っていないからだ。
そんな中、主人公タシャは別れた夫とまだ小さい子どもに執心している。「自分」しか考えない組織にあって異質の存在といえるかもしれない。
それはある意味でタシャの仕事への集中力の欠如、任務に対しての非情さの欠如に繋がっているように思える。
先任の暗殺者だったガーダーはタシャを有能とみているようだが、本当にそうだろうか。オープニングの任務のときすでにタシャは不安定に見えた。
そんな不安定さからなのか、タシャとタシャに体を奪われた男の意識の混濁が物語のメインだ。
体に入り込むタシャの意識や記憶が元々自分が持っていたものなのか体の持ち主のものなのか定かではなくなっていく様が面白い。
次第に何をしようとしているのか、何をしたいのか自分でも分からなくなっていく。二人の人間の意識が溶け合って一つになっていくような不思議さが面白かった。
体の男の意識にタシャの意識の中のいらないものが溶け込んで、離脱したあとのタシャは組織にとって都合のいい、自分たちと同じ無感覚の外道になったのかもしれない。
余談だが、血の表現がなかなか強烈で、食事中に観るのは向かないなと思った。
そんなわけで血がグロいので苦手な人は観ないほうがいいと思う。
容赦なくグロい、エグいが・・、映像と音の表現は斬新、評価に値する。
他の方が記載している通り、暴力表現、血の量はビックリするぐらいヤバい。
よく、公開の許可がおりましたね・・。ってレベルです。ご注意ください。
前提の説明も少なく、精神世界の表現が多いので、ついていけないところも、多々あります。
ですが、相手に入りこむ映像、不安、恐怖、葛藤の映像表現、音の表現は斬新です。
見ている人を終始、何とも言えない嫌な気持ち、不安な気持ちにさせます。
私自身、直視できなくて、片目をつむってしまうところもありましたが、見る価値はあると感じました。
主人公が戻ってきて、精神状態をテストするシーンが複数あります。
これから見る方には、しっかりセリフを見てほしい。
そこに、この映画の本質の1つがあるように思いました。
** ここからは、鑑賞した人向けです。**
感じたこと、怖かったこと。
自分の心と自分の身体 (社会的な地位) 両方が揃ってるときは、
恥とか道徳、倫理とか、ルールや法律、そういう縛り(?)によって、一般的にいう「人として」の行動をしていても、
心が他人の身体に入り、それらの縛りが消えてしまうのであれば、欲望のままに動いてしまう。
絶対に罰せらられない状況。
対象の相手は一切、自分に無関係。
命を奪える武器は、自分だけがもっている。そして、相手は自分を攻撃してこないことがわかってる。
そんな状況が揃っていたら、引き金をひいてしまう人は多いだろうな・・、自分は留まれるだろうか??と
作品を見終わって考えました。京極作品でいうところの「とおりもの」を思い出しました。
引き金をひけないこと。
ひとつは、暴力をふるいたい要求、相手を痛めつけることでの解放感を味わいたいから、単に面白くないから、
もうひとつは〇殺という行為が「自分」を強く意識させるから、突然怖くなる、現実に戻される、死ぬほど痛いのは嫌だ、
自分がかわいいため、と私は感じました。ここの説明がないところに、批判も多いですが、私は良い表現だとおもいました。
白い澱。
本当に気味が悪かった。頭の中のゴミというか、不純物というか。
そして、新しいけど、誰にでも何となく伝わる映像表現というのも凄い。微妙に振動しているところも、不安にさせる。
つぶされるアレ、かぶるアレ。
凄い表現だった。え!?えええ~。って感じ。
どっちに主導権があるのか、分からなくなる混乱要素でもありますが、とにかく象徴的な映像表現。
夢に出てきそうで、すこぶる怖い。
消えゆくものと、継がれていくもの。
暗殺を続ける中で徐々に「人としての何か」が消えていく。精神状態のテストからもそれが伺える。
最初は口に出してたものが、出さなくなってる。そうやって、より純粋、無垢な暗殺者になっていくのだろう。
そして、それは継がれていく。と思えた。
母と娘の血と血がつながっていくシーン、親子の繋がりを感じさせる共に、継承や世代交代を意味しているような気がした。
本当のポゼッセーとは。
暴力シーンや、精神世界の強烈な絵に頭をもっていかれますが、
心と体、それを制御するものは一体、何のか。社会の縛りのない世界で、人は何をするのか。そんなことを考えてしまう作品でした。
2 回目は見ないですが、深く、心に刻まれた衝撃作であったことは間違いありません。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
オリジナル版からのカット
R18+だったり宣伝でかなり刺激が強い作品と煽られていますが、オリジナル版からちょこちょこカット+ボカシが入っていて、そこまで構える必要はなかった。
具体的に私が気づいたオリジナル版からカットされたりボカシが入ったシーンは以下。ちなみに輸入版Blu-rayはすでに日本でも入手可能。
・他人の私生活覗き見での、フルチンぶらぶら+セックスシーンにぼかし
・エヴァとのセックスシーンが一部カット
・ショーンビーンへの暴力シーン、目ん玉グリグリが一部カット(カットの繋がりが不自然になっていたのですごく残念。)
映画本編はさすがクローネンバーグの血というか、映画の題材自体がめちゃくちゃクローネンバーグっぽい笑
音楽はジム・ウィリアムさん(昨年カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した「TITAN」だったり「RAW」の音楽を担当している今大注目の作曲家!)だったり、ミニマルでスタイリッシュに統一されたデザインは大好きです。細かなところまでデザインコントロールが行き届いていて品質は良いと思います。
ただ、人のアイデンティティに踏み込む哲学的なテーマは散々、押井守をはじめとする攻殻機動隊的なSFアニメで扱われてきていたので、正直すでにお腹いっぱいのテーマだった。
また、そもそも他人を誘拐してバレずに脳に細工することができるんだったら、あんなまわりくどい暗殺の仕方しなくても最初からターゲット本人誘拐して殺せば良いじゃんと思ったり、いくら自殺に見せかけても司法解剖で脳に細工してんのバレるんじゃない?と思ったり、気になるところもある。
次の作品にも期待!
そして、毎回殺される役が多いショーン ・ビーンさん。今回もボコボコにされて可哀想でしたし、さらに見せ場の目ん玉グリグリが少しカットされていたのがもっと可哀想。映倫頑張ってくれ!
そして久しぶりにハンドドライヤーが動いてるのを見て懐かしくなった笑
期待以上だった
ターゲットの近くの人の意識をのっとって殺しをする女性のSFノアール。
抑えた語り口で血塗れバイオレンス描写は容赦なく、アナログな特撮もVFXだらけな今だと異物感あっていい。
親の七光り的な作品と期待度低かったけど、期待以上に独創的で面白かった
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