「この映画を世に送り出してくれて感謝」トゥルーノース Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画を世に送り出してくれて感謝
久しぶりの衝撃作。
これはほんとにすごい映画。
【トゥルー・ノース】2020年 日本&インドネシア
政治犯として理不尽に北朝鮮の強制収容所に送られた、中流家庭の家族の運命を描く。
饒舌に尽くし難い、地獄のような収容所。
強制労働、飢え、病、暴力、レイプ、拷問…
人としての尊厳なんてカケラもないこんな環境の中で
次第に人間性を歪めていく者もいれば、
この主人公の母のように自分を見失わない者もいる。
皮肉にも、心荒んだ主人公が良心に目を覚ましたのは
最愛の母の臨終の言葉だった。
北朝鮮という国の狂気と異常さを、脱北者の証言を元に映画化したこの作品は、驚きと共に、大きな感動を呼ぶ。
独特の角ばったアニメーションは、最初は低予算のためかと思いましたが、これは実は、あまりにも残酷な描写が多いため、リアリティを削ぐためにあえてこのような絵なのだそうです。
これでも十分伝わるし、少し見慣れてくるとかえって効果的なことに気づく。
観る側の想像を掻き立てる独特の表情や動き。
セリフは全て英語で、劇中の歌も心に響く。
思わぬシーンで聴く「赤とんぼ」は涙なしには観れない。
主人公ヨハンの、生まれ変わる様。
人は、心の持ち方次第でこれほどまでに強くなれる、優しくなれる。
そして、人を恨んだり、妬んだり、貶めるのではなく、
互いに助け合う事で、手を差し伸べ合う事で、また自分も救われるということに、あらためて気づかされる。
これ以上あまり内容は書きません。
とにかく観て欲しいです。
人間の尊厳と、愛。
それは誰にも奪えないもの。
過酷な運命に翻弄された家族に、胸がキリキリ痛む。
涙が止まらない。
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