「特殊な国の話?いえ、普遍的な」トゥルーノース ユウコさんの映画レビュー(感想・評価)
特殊な国の話?いえ、普遍的な
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強制収容所の中は不潔でひもじくて暴力に満ち、人々の心もすさみ、虫けらのように死が訪れる。
見ながら怖くて怖くて涙が出てくる。
しかし、不思議なことに、強制労働を強いられる側からしたら、憎いのは「将軍様」ではなく収容所で好き勝手して直接暴力を振るう管理者たちだ。
もちろん、狂った独裁国家が今現在あって、そこで理不尽に搾取され苦しむ人たちがいることは目を背けてはならない。
映画を見ていて思うのは、むしろ恐ろしいのは、権力を笠に着て自分たちの欲を満たす者だということ。立場さえ得られれば権力に酔い暴力に躊躇がなくなる。その恐ろしさ。
地獄にいても、己の善を貫くことで周囲を変えるヨハンの母と妹のたたずまいが美しい(が、どちらも暴力にあうのが、無惨)
自由が一切無い悲惨な状況の中で、時々光る星が見つかるストーリー。理不尽な運命の中でも希望を捨てず生き抜くことを訴えているのかもしれない。
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