劇場公開日 2021年6月4日

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「特殊な世界だけど普遍さを感じる不気味」トゥルーノース kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0特殊な世界だけど普遍さを感じる不気味

2021年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

もしかして北朝鮮では今も恐ろしいことが起こっているのかも、、、という潜在的な危惧が衝撃を持って現実なのだという確信に変わるアニメ映画。吹替のように北朝鮮人が英語を喋っていることで、世界への発信という映画の使命感が体で感じられる。しかもそれはアウシュビッツ収容所とか、シベリア抑留とかと違って、地理的にも時代的にも決して遠いものではないのだ。
一方で、どんな状況にあっても人に対する思いやりと音楽を忘れない人の気高さにホッとさせられる。(何れにしても「愛の不時着」がいかに優れたファンタジーだったかを認識させてくれる。まあシリアスに比べるのは野暮である)
生殺与奪の権利を奪われてしまった主人公が、自分と家族が生き延びるために良かれと思ってとる悲しい選択、歪んでいく行為、、、おっと、これは人ごとではなく同じような構造の事件は多かれ少なかれこの国でも起きているのではないかと途中背筋が寒くなった。(蛇足ですが、保身のための余分な忖度とかのこと、です。6/7追:いわゆるパワハラや、いじめる側・いじめられる側が入れ替わるいじめ問題なども含め)
事実にインスパイアされたフィクションとしてのプロット、いいと思う。ラストがまたまたズキュン!である。

Kumiko21