「フェーズ4の希望の星」エターナルズ omoroさんの映画レビュー(感想・評価)
フェーズ4の希望の星
アバンタイトルのアクションシーンでそれぞれの個性を発揮して連携する姿は、アベンジャーズ恒例の長回しシーン程とは言わないまでも、単体作品でこれが出る事にMCUの確実な進化を感じたし、ヒーローがヒーローとして躍動している姿にそれだけで胸がいっぱいになった。
監督のフィルモグラフィからしてアクションにはあまり期待はしてなかったんたけど、アクションシーンが非常に整理されており、目まぐるしく動くキャラクターの特性もしっかり描けているのは嬉しい誤算だった。
みんな大好き超スピードキャラが大活躍するのも嬉しい。
更には脚本・演技・演出だけでなく俳優の持つパブリックイメージまでをもフル活用して156分の中で 10人を描き切っている事にも驚いた。
この作品を語る上で外す事が難しい多様性に関する表現は、キャラクターの性格・年齢・性別・姿形と全く並列に、何の説明もなくただそこに存在する単なるパラメーターとして描かれていて事前に聞いて想像していたよりも自然でさりげなく、それが逆説的に現実とのギャップを浮かび上がらせるという構造になっている。
現実ではどうしても意識してしまう(『全然気にしないよ』というスタンスも含め)ので、"エターナルズ"という超越的な存在達だからこその関係性であり、それでもやはりそれが理想の世界だよなと思わせてくれる希望にも見えた。
特にファストスの能力的な個性と性格的な個性のストーリーへの組み込み方の上手さは巧すぎて漏らしそうになった(大袈裟)。
エイジャックスが地球人に抱く特別な想いの根源的理由(他の星との差異)=監督が思う人間に対する解釈が知りたかったなとは思ったけどそこは求めすぎかな。
MCUフェーズ4の縦糸になりそうなストーリーが描かれてるし、単体作品としてはMCU歴代ベスト5に入りそうなクオリティだと思うんで、ファンもファンじゃなくても必見だと思います。