劇場公開日 2021年11月5日

「「神々」の関係性、幾何学模様を基調とした視覚効果など、様々な面で変化したMCUを堪能できる一作。」エターナルズ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「神々」の関係性、幾何学模様を基調とした視覚効果など、様々な面で変化したMCUを堪能できる一作。

2021年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ノマドランド』からのマーベル、ということで、期待と不安が錯綜していた本作、 新たなマーベル世界の導入部として印象的な作品となりました。

曇天を背景とした彩度の低い光の中に佇むエターナルズ達、というポスターから受ける印象からして、「静的な」雰囲気が漂っていて、「これまでのMCUとは違う、なんなら全く違うシリーズ作品」であることを強く感じます。ただそれは観客側の的はずれな先入観、という訳でもなくて、確かに作中では、「これはクロエ・ジャオの作品」であることを強く納得させる、雄大な自然を取り込んだ映像美を随所で堪能できます。

では、これまでのマーベル作品とは断絶しているのか、といえば決してそうではなく、見せ場となるアクションはスクリーンを生かし切った、最新の映像技術と驚きのアイデアに満ちていて、飽きさせません。

このあたり、これまでの自分の作風とは全く異なったシリーズであるにもかかわらず、むしろ自ら積極的に売り込んでいったというジャオ監督の熱意とバランスの取り方が際立っています(派手なVFXの代わりに、繊細な幾何学模様を積極的に視覚効果として取り入れているところなどはその典型)。

上映時間(156分)に二の足を踏んでしまう、という声も聞きますが、人類の文明の発達史に沿って明確に場面を区切っているため、むしろ展開の速さに小気味よさすら感じます(この構成は、ちょっと『この世界の片隅に』を連想させます)。

ただし、中盤にエターナルズという存在に関するある重大な事実が明らかになって以降、大きく精神的に動揺しているはずの主人公達が、それでも何も知らなかった頃の行動(仲間探し)を繰り返してしまうあたりに、ちょっと反復感と冗長性を感じました。

どう考えてもシリーズを想定した作りのはずなのに、プロデューサーが「続編は想定していない」と発言したり、ちょっと先行きが不透明な本作。ひとまず今回の興行成績で続編の製作が検討されるそうだけど、どうも正式に続編が作られることが決まったとのこと。ひとまず良かった!

yui