「【人類史⇔アベンジャーズの歴史】 エターナルズはこれまでの人類史を...」エターナルズ マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)
【人類史⇔アベンジャーズの歴史】 エターナルズはこれまでの人類史を...
【人類史⇔アベンジャーズの歴史】
エターナルズはこれまでの人類史を振り返り人類の歴史の裏に実は人知を超えた存在がいて隣人のように古代の人類と共存していた事実が判明する。
しかしよくよく見ていくとこのシナリオの流れやエターナルズの行動の描き方はこれまでのアベンジャーズが描いていたことをもう一度なぞりこれまでのシリーズ要素を再構成して一本の作品に落とし込んだように見えた。
劇中で人類の愚かな争いを見て仲間割れをするシーンや終盤のビーチでの戦闘はシビルウォーでのアベンジャーズ内のキャプテンアメリカとスタークの衝突、アベンジャーズの事実上の崩壊と重なるし、エンドゲームでのガントレット争奪戦は出現を止めるための鍵であるセルシチーム(アベンジャーズ)と与えられた指示を守りセレスティアルズ生誕を守ろうとするイカリスチーム(サノス)の争いにも置き換えられると思った。
また、自らの記憶が実は改ざんされていたとわかるシーンはキャプテンマーベルの記憶の事実の相違とも重なるしセレスティアルズが地球に種を植え付けたのもGotG2のエゴを彷彿とさせる。
【数々の神話要素】
もしかして海外の古典や歴史を知っているともしかしたら味わい深くなるかもしれない。イカリスが最後太陽に向かって上昇していったのはイカロス伝説をなぞっているのだと思ったし、自らを地球に派遣した主の指示を待つが一向に次の指令が来ないのは「ゴトーを待ちながら」をなぞっているのかなと思う。スプライトの成長できずに苦しみ一方で恋愛をしていたセルシに対する嫉妬心、自らのエターナルズの力を捨てて最後人間になるところは永遠の生命という楽園を捨て去る「失楽園」における人間なのかもしれない。
【人間の複雑さをキャラクターにトレースした人物像系】
人間という存在は中身を空けてみれば複雑な生き物でそれをエターナルズ一人一人に反映させていた。セナは戦いの女神であり兵士をイメージしていると思うがそれは戦場でPTSDにかかり突然苦しみだす苦悩を表していると思ったし、核兵器という最悪の兵器を作り出し嘆くがそれでも愛する人を見つけ人間との生活を捨てられないファストス、自らの考えを捨てられず仲間を殺すも最後は愛する人であるセルシは殺せなかったイカルス。キャラ造形のエッセンスが上手く反映されておりなかなか良かった。
【パワー描写が少し物足りなかった】
見る前は神々の戦いが見れると思ったがそこらへんは物足りなく感じた。というのも昨今のスーパーヒーローものを見ているとやはりどこかで見たような技に見えてしまいもっとド迫力のパワーバランスが見れるかと思ったがそこら辺の味付けが足りない。アメコミ映画の乱立によりそこら辺の技量が成熟しきってしまっているせいかもしれないがもっと試行錯誤を増やしてほしいと思った。