「人間不在の人間くささ」エターナルズ ぽったさんの映画レビュー(感想・評価)
人間不在の人間くささ
アベンジャーズの世界に結合させる必要があったのかな。これはこれで独立した世界の話にすればよかったのではないか。
エターナルズはギリシャ神話の神々であり、恋したり妬んだりして、それが物語の駆動力になっている。その彼らを作った神様(ロボットみたいな外見)も出てきて、人間はほとんど無力。だが、人間臭さが神々に強い影響を与える。スケールはデカいはずだが、やっていることはソープドラマと変わらない。
その他大勢としての人間はいるが、固有の存在感を持った人(人間)は二人しか出てこない。基本、神々の愛憎劇。ドラゴンボールでいえば、ナメック人たちの話であって、ヤムチャやブルマの話じゃない。
エヴァンゲリオンで巨大化した綾波みたいなのが目覚めかけるが食い止める。銀河を作る能力を持っているらしい。いずれも人間タイプなのは、考えることを放棄しているというか、あまりにベタで、客はこんなもんを見せとけばいいと思っているからか。サノスの指パッチンというギャグのような行為で宇宙の生き物の半分が死ぬという映画が興行トップになるくらいだから。
神様が人型ならその神様を作ったのは誰なのかと問いは遡行する。新井白石が既に指摘している問題だ。人の頭は江戸時代から進歩していない。
中国系の主演女優、手話、インド人と幅広い。時代も空間もあっちこっち行ったり来たりと、これまでに例がないめまぐるしさ。
不老不死だったり、空を飛んで目から光線を出したり、素早く移動したり、指デッポウみたいにポンポン撃ったり、力持ちだったり、人の心を操ったりといった能力も、これまであるものをそのまま使うという安易さ。宙に浮かぶとき両手を少し広げるというのもお約束のポーズ。怪物も古臭い。新しさを感じさせない。