「【”慈悲無き天地創造神に造られし者達の様々な葛藤、愛を描いた壮大なスケールの作品。ジェンダーや多様性を意識した”不老の守護者達”のキャラ設定も魅力的。今作は、クロエ・ジャオ版「天地創造」でもある。】」エターナルズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”慈悲無き天地創造神に造られし者達の様々な葛藤、愛を描いた壮大なスケールの作品。ジェンダーや多様性を意識した”不老の守護者達”のキャラ設定も魅力的。今作は、クロエ・ジャオ版「天地創造」でもある。】
ー クロエ・ジャオ監督が、マーベル作品を制作していると知った時には、驚いたモノだ。
「ザ・ライダー」で、一躍名を上げ、「ノマドランド」で、オスカーを獲得。
順調すぎるキャリアアップだが、上記両作品とも、ドキュメンタリーに近い作品である。
娯楽大作の製作って、大丈夫なのか・・、と思ったのである。
だが、それは全くの杞憂であった・・。ー
◆感想
・7000年に亘り、人類の進歩を見守って来た超人エターナルズ。
クリーチャー”ディヴィアンツ”が出現する時だけ、人類を救って来た。
だが、宇宙の無慈悲な創造神、アリシエムが自分達と共に、”ディヴィアンツ”を創造した・・と知った時から、超人エターナルズの煩悶は始まる。
ー 神は無慈悲で理不尽な存在である、というのは旧訳聖書でも度々言及されてきた事である。
が、”ディヴィアンツ”の襲撃から人類を守る事が、自らのミッションと思いながら、人類の進歩や、愚かしき戦いを”見て来た”彼らにとって、自分達の存在意義が根本から揺らいだことは、容易に分かる。ー
・ストーリー展開の面白さ
ー 上記を踏まえつつ、5000年前から現代を行き来しながら、ストーリーは展開される。
そこでは、セルシ(ジェンマ・チャン)と、最強の戦士イカリス(リチャード・マッデン)が恋に落ち、結婚していたり、愚かしき戦いを繰り返す人間達を止めようとする人心を操る能力を持つドルイグ(バリー・コーガン:個人的に、この人にはスーパーヒーローは似合わないだろう・・、と思っていたら、決まっているではないか!)の姿。
そして、唯一”無慈悲な神”とコンタクト出来るエイジャック(サルマ・エハック)のみが知っていた事実が明らかになった時に、エターナルズの結束に罅が入るのである。ー
□少し、残念だった点
・エイジャックやギルガメッシュを斃した、一人の”ディヴィアンツ”が、彼らの記憶を体内に取り入れ、進化した姿以降の、彼の姿や行動がキチンと描かれていなかった事。
ー ここは、次作以降に期待しよう。ー
・人類を守る意義を見失ったイカリスが、”無慈悲で理不尽な神”の意志に従い
”出現”(=地球の破滅、人類の滅亡。そして、新たな惑星での生命体の創作・・。)
を実行するべく、エイジャックを葬る姿。
”出現”を阻止しようとするセルシや
人間の子供たちと暮らす事に生き甲斐を見つけた“発明家”ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)や、
”神の瑕疵”により、過去の記憶が残っており、時折凶暴な行動を取ってしまうセナ(アンジェリーナ・ジョリー)
手話がコミュニケーション・ツールのマッカリ(ローレン・リドコフ)
ボリウッドの大スター、キンゴ(クメイル・ナンジアニ)。
ー この状況下で明らかになった、7000年の間、少女の姿だったスプライト(リア・マイヤー)のイカリスへの想い。
そして、イカリスも又、且つて深く愛したセルシに対し、眼からの強烈な”ビーム”を発することが出来ず・・。
彼は自らの行いを清算するするため、セルシ達に涙を流しながら詫び、音速で太陽に飛び込んでいくのである・・。
今作では、エターナルズの抱えた様々な屈託、悩みがキチンと描かれている。
(除く、キンゴ。何故にボリウッドのスター・・。お付きの50年マネージャーをしている太ったおじさんも良い味を出している。お笑いキャラ担当であろう・・。)
<クロエ・ジャオ監督お得意の、雄大な自然の風景や、巨大なモノリスにしか見えない彼らが乗って来た宇宙船”ドーモ”を始めとした、SFガジェットも良い。
何より、人間臭いエターナルズ達の、キャラ立ちの良さとストーリー展開に魅入られた作品。
セナと長年暮らしたマ・ドンソクが演じたギルガメッシュの死は残念だが、エンドロール後現れた、新たなキャラクターも次作を期待させるなあ・・。
今作は、クロエ・ジャオ版の「天地創造、番外編」でもある。>
原作コミックの知識はまったくないのですが、今回は裏事情を説明しすぎな気がします。『私たちが不老なのはもしかして…?』なんて疑うあたりで終わらせておけば、次への期待が高まるワクワク感で、この作品もまずまずな評価になったのではないか、と思ってます。だから、私は今回のアリシエムの説明はかなりウソが混ざってると踏んでます。
サイトの健全化、運営の方々も頑張ってくれたのですね。レビュー投稿数の何倍もの共感という不自然さも今のところ、解消されたようで良かったです。
今作の評価の割れっぷりはホント凄いですね。
私の浅〜いイメージをつらつら垂れ流す感想文と違って、NOBUさんのしっかり咀嚼した上で賛否を記したレビューの方が、非常にわかりやすいし、うまいなーと関心させられます。
コメント有難う御座いました!
NOBUさんのコメントは勉強にもなります。書かれていた作品で、直近だとブラックウィドウは公開直後のレビュー評価良かったんですが結局行かず未視聴のままなので、早めに何かで観てみたいと思います!
また宜しくお願い致します!