「これがマーベル流カンフーアクションだ!」シャン・チー テン・リングスの伝説 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
これがマーベル流カンフーアクションだ!
まず、最も大事なことだが、映画の宣伝でさんざん目にした「最強ゆえに力を封印した」という文言は大嘘だ。映画本編を観ても、封印はともかく最強とは全く思えない(強いは強いけど)。どこからこんな嘘っぱちを思いついて宣伝文句として取り上げたのか全く理解できない。ディズニー配給の映画の宣伝は、その中にどのくらい真実が入っているのか疑ってかからなければならず、映画鑑賞のノイズとなってしまう。ベイマックスとかモアナとか、ひどかったでしょ。
と、前置きはこの程度にして。
MCU初のアジア人ヒーローの誕生譚である今作。アジア人というか中国人か。ハリウッド映画のアジア描写はスラムじみた市場かネオン街といったインチキ臭いものが多いが、この映画はかなり真面目に中国を描いていて、心底驚いた。中国風絵画から出てきたような美しい竹林に岩山、モンスターも比較的アジアっぽくて、さらに『中国なまりの英語』などと姑息な裏技を使うことなく真正面から中国人ヒーローを描き切っている。あっぱれと言うほかない。(ワカンダの公用語は英語だったみたいだけど)
そして特筆すべきはアクションだろう。MCUの肉弾戦と言えばキャップだが、彼のようなパワフルで肉体を最大限に駆使したアクションはほぼなく、基本的にはカンフーをベースに組み立てられた流麗あるいは舞踊のようなアクションが目立つ。ただ、ジャッキーやブルースリーなどの本場カンフーと比べると少々遅い。まあ、リスペクトがあっただけほめるべきだろうか。
でもテンリングスと使ったアクションは滅茶苦茶かっこよかった。構え、振るい、すべてを真似したくなるカッコよさ。映画館はDXテンリングスを売ってくれ。
ストーリーは…普通。タイトルに「テンリングスの伝説」とあるが、テンリングスよりは母親の故郷の方に焦点が当てられていたように思う。テンリングスの伝説自体は「テンリングスを手に入れた男がやべー組織を作った」くらいで終わっていたし。
しかし、きっと次回作からシャンチーがアイテムとしてのテンリングスの伝説を、新たな首領が組織としてのテンリングスの伝説を作っていくのだ。MCUに合流もするし、今からワクワクが止まらない。シャンチーのバチバチにかっこいいテンリングス捌きを観たい。これがMCUのフェーズ4の始まりだ。