「誰かと何かを分かち合うこと」パリの調香師 しあわせの香りを探して arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
誰かと何かを分かち合うこと
『パリの〜』『しあわせの〜』という邦題ダメダメ要素が二つも入っているタイトル、生れながらに嗅覚の鋭さは持っていたにせよまったく素養なしの人間が“匂い”を仕事に出来るだろうかという疑問はあるにせよ、この作品を評価したいのは、この二人の出会いを安易に恋愛に持って行かなかったことにある。
運転手としての能力にも疑いのある(嵩む減点、料金所でのスマートさに欠けるetc.)ギョームではあるが、娘と過ごす時間を大事にしているという一点に関しては間違いないし、どこか人好きのする人柄は、人付き合いが苦手で親しい友人もいないアンナの心を開いていく。
アンナの助言はギョームに自信をもたらし、ギョームの素直な心はアンナに誰かと何かを分かち合うことの心強さ、充実感をもたらす。
男女が(二人の人間が)出会ったからといって、必ずしも恋愛に至るわけでもなし、そうでなくとも充実した人間関係を作ることが出来る、今作はそういうことを改めて教えてくれた。
“香り”、“匂い”に関する仕事がこれほど多岐にわたるというのも興味深かった。
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