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「【インド工学部卒就職率が10%と言う事実に驚き、汚職塗れのインド建築業界に少し驚き、前半と後半の主人公の印象の違いに物凄く驚いた作品。インド社会の重い問題を見事なエンタメ作品に仕上げた作品でもある。】」無職の大卒 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【インド工学部卒就職率が10%と言う事実に驚き、汚職塗れのインド建築業界に少し驚き、前半と後半の主人公の印象の違いに物凄く驚いた作品。インド社会の重い問題を見事なエンタメ作品に仕上げた作品でもある。】
ー大学の工学部を卒業するも、自らの建築業界就職への拘りもあり、無職のまま家でブラブラしているラグヴァラン。父からは”役立たず”と叱責され、就職した弟をオンボロバイクで会社まで送る日々。無精ひげを生やし、生気のない毎日を送るラグヴァラン。-
・インターミッションまでの前半は、臨家の美女シャーリニとの絡みも含め、コミカルタッチでラグヴァランの境遇が描かれる。父の口撃(心配しての、激励であろうが・・)からラグヴァランを庇う、母。
ー”男だったら、もっとシャキッとしろよ!”と少し苛苛しながら鑑賞。ー
・途中、お約束の踊りも唐突に挟まれるが、ここは楽しく鑑賞。
■インターミッション後の後半パートで、この作品の魅力は輝きを増す。
・ラグヴァランの成功を祈っていた母が急死する・・。だが、その母の臓器を移植され、健康になった娘の父親は、建築業を営んでおり、彼の真摯な姿と技術を認め、自分の会社で雇用する。
ー正に、母の献身的な息子への愛の結果である・・。-
・そして、ラグヴァランは貧困層のための集合住宅の案件を適正に落札するが、建築業界を牛耳ってきた”ある会社”を経営する父の”馬鹿息子”が格安資材をラグヴァランに拒否された事に腹を立て、ことごとく、ラグヴァランの仕事の邪魔をする。
だが、その嫌がらせを様々な手段と知恵で乗り越えていくラグヴァランの姿。
ー本当に、前半の覇気のないラグヴァランですか?と思う位の活躍ぶりである。
眼力は凄いし、喧嘩は強いし、頭は切れるし・・。
更に、”馬鹿息子”の差し金で工事監督達や労働者が現場に姿を見せなくなった時にやってきたのは、多くの無職の工学部卒の人々だった・・。
ここのシーンは、もの凄く心に響く。
実力もないのに、親族の威光を振りかざす連中に対し、本当の実力を示す多くの”無職の大卒”達の姿に対してである。-
・最後の最後まで邪魔をする”馬鹿息子”とその取り巻きを、凄腕で軽く一蹴し、仕事をやり遂げたラグヴァランの姿。
ーそりゃあ、臨家の美女シャーリニも惚れ直すよな・・。-
<エンドロールで流れる、無職の工学部卒の方々に向けたメッセージも心に響く。
こんなハイレベルの作品が2014年に制作されていながら、日本未公開だったことに驚くし、今後次々に上映される映画が更に待ち遠しくなった作品。>
<「インディアンムービーウィーク2020」 MOVIX三好にて2020年9月26日鑑賞>