「外の世界を知るからこそ語れる『自由』」デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
外の世界を知るからこそ語れる『自由』
この映画を観て、改めて海の向こうの大国がめちゃくちゃ怖くなりました。
潤沢な金と(恐らくはその潤沢な金で他国から購入した)武器、国家に従うことを当然のこととして生まれながらに教育されてきた人々。
ほん怖。
まだ日本人で良かった。
個人的な感想ですが、この映画は一見していちアーティストの生い立ちをクローズアップする…と見せかけて、この映画の主題である『自由な香港人』のいち題材としてデニス・ホーという人物を選んでいるように感じました。
香港生まれカナダ育ち、メインの言語は(恐らく)英語、各賞総なめの歌手兼ヨーロッパのブランド企業も目をつける美貌の持ち主、そして同性愛者。
まさに本土の人達にとっては宇宙人みたいなタイプだと思います。
正直、香港で民主化デモが起こっていなくても、いずれ彼女のようなタイプは弾圧されていたんじゃないかと。
ポスト・アニタ・ムイの地位を捨てて自分の言葉で話すようになった彼女は、怖いものなんて何もないというように感じました。
ただそれは、統制を取りたい人間達にとってはただの脅威であるはず。
なんかこれっておかしくない?
そう思う人がもっとたくさんいたのなら。
他の本土の人々も、彼女と同じように自由を知る人間達であったのなら。
恐らくは、彼女が排除されるようなこともなく、香港の歴史も変わっていたんじゃないでしょうか。
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